【COLUMN】(有)井上誠耕園・智博氏、大輔氏
穏やかな瀬戸内海に浮かぶ小豆島。400年の歴史を誇る醤油づくりや手延そうめん、そして太陽を浴びて輝くオリーブが島の風土と文化を彩ってきました。しかし、この風光明媚な島の裏側には、人口減少、少子高齢化、そして耕作放棄地の増加という、現代日本が抱える深刻な課題が凝縮されています。この大きな課題に、農業を通じて真正面から向き合い、売上高100億円に迫る規模へと成長を遂げたのが、農業法人・井上誠耕園です。今回は、事業を大きく飛躍させた三代目園主・井上智博社長と、そのバトンを受け継ぐ取締役・井上大輔氏の親子をお迎えし、事業承継の実情や経営哲学、そして小豆島から見据える未来についてお話をうかがいました。

【井上 智博氏 プロフィール】
(有)井上誠耕園 代表取締役 園主
1964年、香川県小豆島町生まれ。井上誠耕園三代目園主。家業のみかんが不当な安値で取引される現実に憤り、「生産者が自ら価値を決め、売るべきだ」と決意。1989年に帰郷・就農し、農協出荷から顧客への直接販売・通信販売へと舵を切る。この事業転換を起点に、6次産業化を強力に推進。1999年には「オリーブ化粧品」、2005年には高品質な「緑果オリーブオイル」を開発し、ヒット商品に。さらにスペイン農家との提携、カフェや宿泊事業、観光施設「らしく園」の開設など、農業を軸とした多角化戦略で小豆島の活性化に貢献。1,000万円強だった売上を約30年で100億円規模へと飛躍させた。祖父から受け継いだ「農は国の基なり」という理念を胸に、日本の農業の未来を切り拓く。
【井上 大輔氏 プロフィール】
(有)井上誠耕園 取締役
幼少期から会社の成長を間近に見て育つ。会社の成長と共に自身の生活も変わっていく過程を体験し、会社を支える従業員への感謝の念を強く抱いている。大学卒業後、KCCS(京セラコミュニケーションシステム株式会社)でコンサルタントとして経験を積む。2022年、小豆島にUターンし、井上誠耕園に入社。取締役として会社基盤の整備や新規ブランド開発などにあたっている。