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日本の食文化を守る、香川県小豆島の「木桶職人復活プロジェクト」

こんにちは。四国の転職エージェント、リージェントの小川です。まだまだぐっと冷え込む日がありますね。それでも風のない日には暖かさが感じられて、心地よい春の気配を感じるようになりました。

今回は『木桶職人復活プロジェクト』についてご紹介したいと思います。このプロジェクトの発起人は香川県小豆島にあるヤマロク醤油さん。次世代に本物の醤油を残そうと、木桶の職人を増やす活動に取り組まれています。



出典:木桶職人復活プロジェクトHP

和食に欠かせない醤油などの調味料をつくる木桶の寿命は100年〜150年程度。いま日本で使われている木桶は戦前に作られたものがほとんどで、あと50年もすれば使えなくなってしまうそうです。ヤマロク醤油さんが新桶を発注しようとした2009年当時、醸造用の木桶を製造できる桶屋さんは大阪に1社しかなく、今ある木桶を使えなくなった時、木桶仕込みの調味料をつくることができなくなる、微生物の発酵によってつくられる木桶仕込みの醤油・味噌・酢・味醂・酒は50年後の日本では手に入らないものになってしまう…この危機的状況を変えようと立ち上がったのが『木桶職人復活プロジェクト』です。

そもそも私がこのプロジェクトに関心を抱いたのは「醤油屋さんが桶屋さんに弟子入りしてまで、自ら木桶作りを学んでいる」という記事を目にしたことがきっかけです。そこまでしても守りたい醤油ってどんなものだろうと興味を持ちました。いつも口にしている醤油は恐らくステンレスのタンクなどでつくられたものだと思いますが特に不満はなく、正直なところ「そんなに違うかな…?」とも思っていたので、「じゃあ、実際に食べに行ってみよう」と、週末に小豆島に出掛けることにしました。

今回は高松から小豆島へ高速艇で渡り、レンタカーで島をまわります。高松から小豆島の土庄港へは1時間に1本程度、フェリーと高速艇が運航しています。フェリーは1時間、高速艇は35分の船旅です。



小豆島の観光地といえば、エンジェルロード、銚子渓お猿の国、寒霞渓、二十四の瞳映画村でしょうか?また、オリーブ、手延べ素麺、醤油、佃煮、ごま油などの特産もたくさんあります。香川県はどうしても「うどん」のイメージが強くなりますが、小豆島にはまた違った文化があります。せっかくの小豆島だったので、滞在した6時間でいろんな名所にも行ってきたのですが、小豆島のドライブはどこを走っても海が近く、あちこちにオリーブの木が植えられていて、春や夏に来るのもいいなぁと思いました。



さて、本命のヤマロク醤油さんに到着です。ヤマロク醤油さんは予約せずとも見学を受け入れてくださいます。入り口に向かうと見学の方ですか?とすぐに案内していただきました。もうその辺り一帯の空気が醤油のたまらなくいい香りで、何度も深呼吸をしてしまいました。



実際に木桶で醤油を醸造しているもろみ蔵に入れていただき、一般的な濃口醤油で2年熟成させていること、再仕込で4年熟成させる濃厚なお醤油があること、こうやって木桶で微生物の発酵によってつくられている醤油や味噌は生産量の1%にも満たないこと、日本で使用されている木桶の半分が小豆島にあることなど、色々なことを教えていただきました。



桶屋さんでの修行を経て、小豆島で日本の吉野杉を削って一から新桶を組み上げたのが2013年9月、それ以降は毎年1月に全国から様々な蔵元が集まって新桶の製作を続けているそうです。私が見学に伺った際、車を降りるとすぐに目に入ってきた大きな木桶はきっと今年組み上げたばかりの新桶だったんだなと後になって思いました。



味や香りのことなのでお伝えするのが難しいですが、本物の木桶仕込みの醤油は、味わい深く口にした途端、一瞬で虜になってしまうほどでした。そんなに違うかな?なんて思っていてごめんなさい…と考えを改め、お土産に醤油を大人買いしてしまったのは言うまでもありません。

同じ香川県に暮らしているのに、香川でこんなに気持ちのこもった醤油がつくられていることも、醤油がこんなに美味しいことも知らずにいました。大袈裟な話ではなく、歴史ある日本の食文化を守ろうと立ち上がってくださった方が香川県にいることを心から誇りに思います。この文化を守ることが本当の暮らしの豊かさを守ることに繋がるのではないかと本気で考えてしまいました。みなさん、小豆島を訪れることがあれば是非、ヤマロク醤油さんを訪れてみてください。そして、バニラアイスに本物のお醤油をかけて味わってみてくださいね!



今回は、日本一小さい香川県のうどんだけじゃないところをご紹介しました。香川県民の私も知らない魅力的なスポット、まだまだありそうです。隠れた香川の魅力を見つけて、またご紹介しますね。