令和8年度予算案から紐解く高知の未来像
こんにちは。四国の転職エージェント、リージェントの植村です。
地方へのUIターンを検討される際に、その地が移住先として長く安心して暮らしていける街なのかどうか、その地域の将来性が気になる方も多いのではないかと思います。
企業の将来性を測るために「経営計画」や「決算書」を読み込むように、実は、自治体がこれからどんな街づくりに本気で取り組もうとしているのか、その本気度やビジョンを客観的に知るためのヒントになるのが、毎年発表される「予算案」です。
本記事では、高知県の令和8年度当初予算案を紐解きながら、UIターン先としての高知県の魅力や将来性について探っていきます。
「共感」と「前進」の好循環へ!高知県の4つの重点施策
高知県が発表した令和8年度一般会計当初予算案は、総額5,071億円(前年度比+ 7.0%)となり、平成15年度以来の規模となる積極的な編成となりました。
最重要課題である人口減少などの課題克服に向けて、「生まれ変わる勇気を発揮できる」1年となるよう、より踏み込んで挑戦するための予算編成となっています。
早速、予算案の軸となる4つのポイントから、高知県が描く未来を見ていきましょう。
参照:高知県HP「高知県の予算」
①戦略的な人口減少対策の推進
高知県は、最大の課題である人口減少に対し、予算規模を656億円に拡大して戦略的な対策を打ち出しています。軸となるのは「高知県元気な未来創造戦略」の強化です。以下2つの柱を中心に、「若者に選ばれる高知」を目指します。
【1】高付加価値型経済への転換
1つ目の柱は、若者をはじめとする県民の所得向上です。県内企業の「稼ぐ力」を強化し、高付加価値型経済への転換を加速させるため、15億円規模の「所得向上推進企業等総合支援事業費補助金」を創設しました。
本事業は、業種を問わず「付加価値の向上」や「生産能力の強化」に取り組む事業者を対象に、1事業者あたり最大7,500万円を補助するものです。
また、企業の当面の経済成長のエンジンとして、この補助金などを活用して持続的な賃上げを目指す事業者に対し、「賃上げ原資の一部を県が直接支援する」という異例の決断を下しました。
その具体策として「高知県賃金向上環境整備事業費補助金」を創設し、従業員1人あたり10万円、1社につき最大1,000万円を支給することで、県内企業の賃金向上を強力にバックアップしていきます。
参照:高知県HP「所得向上推進企業等総合支援事業費補助金」「令和8年度高知県賃金向上環境整備事業費補助金」
【2】仕事と家庭の両立支援
2つ目の柱は、多様な人材が活躍できる環境の実現や、仕事と家庭の両立支援です。
県では、仕事と家庭の両立を図るため「共働き・共育て」の県民運動を推進しています。その一環として、男性育休取得に取り組む企業へ最大300万円の支援金を給付する「こうち男性育休推進企業奨励金」を創設しました。
さらに、課題となっている県内就職・転職、特に転職段階での県外流出に対し、大手求人サイトを活用した県内への就職・転職のPRや、民間マッチングアプリの利用料補助など、これまで足踏みしていた分野にも踏み込み、官民連携を深めて成果を狙います。
加えて、人口減少に適応した持続可能な社会を目指す「4Sプロジェクト(賢い縮小)」を掲げ、広域的な公共交通の維持や消防の広域化など、時代に合わせた地域基盤の再構築にも着手しています。
参照:高知県HP「こうち男性育休推進企業奨励金」「4Sプロジェクトの推進について」
②目指すべき3つの高知県像の実現
県は、目指すべき将来像として「いきいきと仕事ができる高知」「いきいきと生活ができる高知」「安全・安心な高知」の3つを掲げています。 また、すべての施策に「デジタル化」「グリーン化」「グローバル化」の視点を取り入れているのも特徴です。
生活・教育面では、県立高校生等が授業で使用する学習用タブレット端末の一斉更新(8億7,500万円)を実施し、個別最適で協働的な学びの環境をアップデートします。
さらに、2026年秋に開催される「よさこい高知文化祭2026」(8億1,400万円)を通じた文化芸術の振興など、余暇や生活を豊かにする取り組みも進められています。
③災害に強い県土づくり
移住を考える際、防災面を重視する方も多いのではないでしょうか。高知県は「第6期南海トラフ地震対策行動計画」に基づき、「命を守る」「命をつなぐ」「生活を立ち上げる」の3つのステージごとに抜本的な対策を加速させています。
発災時の「命の道」となる四国8の字ネットワークの整備(74億6,900万円)を着実に進めるほか、2000年基準以前の木造住宅まで耐震診断の支援を拡大する「住宅耐震化の促進」(15億9,300万円)など、住民の命と生活を守るインフラ・ソフト両面での投資が強力に推進されています。
参照:国土交通省ウェブサイト
また、避難所となる学校体育館の空調整備を令和12年までに前倒しするほか、迅速に罹災証明を発行するための被災者支援システムの導入など、災害関連死を防ぐための対策も強化します。
単なる防災にとどまらず、被災後の生活再建までを見据えた包括的な整備が進められています。
④持続可能な財政運営と県庁自らの「生まれ変わる勇気」
こうした積極的な施策を継続するには、強固な財政基盤が不可欠です。県では、国の重点支援交付金などの有利な財源を戦略的に活用するとともに、既存事業の徹底的な見直し(スクラップ・アンド・ビルド)を行い、将来にわたる財政の持続可能性を確保しています。
また、県庁自らも「生まれ変わる勇気」を持って変革に挑んでいます。その一例が、時間外勤務手当の割増率を150%に引き上げる社会実験です。あえて単価を上げることで、予算規模を維持したまま残業時間を削減する、という背水の陣で意識改革を促しています。
加えて、全国の自治体で初となる「短時間正職員制度」を導入し、多様な働き方を先導しています。すでに採用試験を実施し、10人程度の任用を予定しています。組織面でも、少子化・子育て支援を一体的に担う「元気な未来創造課」を新設するなど、県政のあらゆる分野で率先して改革を推進しています。
まとめ
令和8年度の高知県予算案から見えるのは、単なる現状維持ではなく「変化を恐れず、未来を創る」という強い意志のように感じました。
企業の稼ぐ力を高め、働く人の所得を底上げし、男性の育休や多様な働き方を本気で支援する。そんな「攻め」の姿勢を持つ高知県は、Uターン・Iターン希望者にとって、魅力的に感じるポイントになったのではないでしょうか。
リージェントでは、こうした最新の自治体動向や地場企業のリアルな変化を捉えながら、皆様の高知での挑戦を支援しています。高知でのUIターン転職にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。