年収UPが増加?過去10年のデータから見る「Uターン・Iターン前後での年収差の推移」
こんにちは!四国の転職エージェント、リージェントの田中です。
「地方へのUターン・Iターン=年収ダウン」というイメージを持っていませんか?確かに、東京や大阪を中心とした都市部と地方では平均年収に差があります。地方へのUターン・Iターン転職をした際に、年収が下がってしまうケースが多いのは事実です。
しかし、Uターン・Iターン転職すると必ず年収が下がってしまうのでしょうか?都市部と地方の年収差は、本当に広がったままなのでしょうか?
長年、私たちが四国へのUターン・Iターン転職を支援してきた中で、過去の年収推移データを集計すると、この10年で四国の転職市場に変化が起きていることがわかりました。年収差の推移から見えてきた、新しいUターン・Iターン転職のリアルをお届けします。
Uターン・Iターン転職の前後での年収差は、縮まってきている
都市部の年収が高い要因はさまざまです。
大企業やそのグループ企業が集中していること、家賃や物価などの生活コストが高いこと、優秀な人材の獲得競争が起こることなどにより、給与水準全体が引き上げられています。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和5年)」を見ても、月平均賃金は、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府などの都市部が高くなっています。
では、四国へのUターン・Iターン転職の前後で、年収は何%くらい下がるのでしょうか。弊社における過去10年間の「Uターン・Iターン前後での平均年収差の推移」を見てみます。
10年前はUターン・Iターン転職後に20%前後、年収が下がっていました。しかし、年収ダウン率は徐々に低下傾向にあり、2025年には10%減にまで縮まりました。
俗説として、「都会から地方へUターン・Iターン転職すると年収は2〜3割減る(※)」という感覚が一般的に広がっていましたが、これは過去のものになりつつあるのかもしれません。
※年収が上がる方もいますし、業種や職種、経験など様々な要因により違ってくるので一概には言えないのが大前提です!
年収アップの金額は増加している
四国へのUターン・Iターン転職後に、年収が下がる方ばかりではありません。毎年弊社でご支援させていただく方のうち、全体の20%の方が年収アップを実現しています。
では、具体的にはどのくらい年収があがっているのでしょうか。
平均年収アップ金額の推移を見ると、2016年は約55万円だったのに対し、2025年は約80万円となっています。この10年間で、平均年収アップ金額は徐々に増加していることがわかりました。
市況が変化している要因として考えられること
ではなぜ、このような変化が起こったのでしょうか。その理由を、四国の転職市場の動向と共に紐解いていきます。
理由①:人口減少・人手不足による四国企業の意識変化
四国エリアは日本の中でも特に人口減少が加速しているエリアです。各県がさまざまな対策を講じていますが、進学や就職による人口流出に歯止めがかかっていません。
こうした背景から、慢性的な労働人口不足となり、四国企業にとって人材を採用すること自体のハードルが高くなっています。
過去、「地場相場に合わせた給与を提示する」ことが主流だった四国企業のスタンスは、「前職の年収を考慮し、都市部の水準を意識した年収を提示する」という形に少しずつ変化しつつあります。
また、この意識の変化は年収だけにとどまりません。休日体制を整え、手当の充実をはかるなど、福利厚生面や働き方の改善にも注力し、Uターン・Iターンされる方に選ばれる企業になろうとする動きが強まってきています。
理由②:DX知見やマネジメントなど、都市部での経験がより評価される流れ
近年のDX化の波は四国にも確実に広がっています。工場のIoT化や、社内システム開発の内製化をはかる企業が多くなり、デジタル技術の知見を持つ「社内SE」人材の需要が高くなりました。
また、生成AIをはじめとするAI技術の進化は目まぐるしく、最近ではAIを使った業務改革ができる人材を求める声も聞かれるようになりました。
さらに、こうしたDX推進の動きに加えて、四国企業において、新規事業や海外事業展開など、「次の成長」を見据えた動きが広がっています。
社長交代のタイミングで、次世代の経営者がより積極的な成長戦略を描いて経営改革に舵を切るケースもあり、その実現を支えるマネジメント層や、管理職クラスの採用に力を入れる企業も出てきました。
このようなDX専門知見や、改革を牽引できるマネジメント経験をもつ人材は四国内では希少であり、都市部でこれまで培ってきた専門性やマネジメント経験が、より明確に評価されやすくなっています。
理由③:経営課題の解決を目指した、高付加価値・プロフェッショナル人材の採用
企業の採用ニーズは、求人サイトなどに掲載されている募集だけではありません。
日々、私たちが経営者の方とお話ししている中で、「こんな経験を持つ人がいれば、新しい事業に踏み出せるのに」「この分野を任せられる人がいれば、今抱えている課題を解決できるのに」といった、まだ求人票にはなっていない熱い想いをお聞きすることがあります。
以前は、都市部での豊富な経験をもつ方が地方企業から、いわゆるオーバースペックと受け取られてしまうことがありました。しかし近年、経営課題を解決できるプロフェッショナル人材を積極的に迎え入れる企業も現れ始めました。
候補者の経験や専門性が、自社の課題解決・成長戦略に直結すると判断され、「この人が加わることで会社が変わるかもしれない」という期待が生まれたとき、従来の採用枠にとらわれず、役割や待遇を個別に検討するケースがあるのです。
変わり続けるUターン・Iターン転職のリアル
10年前には考えられなかったようなことが、今では当たり前になっています。この10年間で、四国へのUターン・Iターン転職を取り巻く環境や採用市場も、大きく変化してきました。そしてきっと、この先も変わり続けていくのだと思います。
四国で働く可能性は、少しずつ広がりを見せています。
「四国だから年収が下がる」と一律に考えるのではなく、これまで培ってきた経験を四国でどのように活かせるのか。どんなキャリアの可能性があるのか。
視野を広げながらじっくりと考えていくことが、これまで以上に大切になってきていると感じています。