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意外とできていない面接の基本

こんにちは。四国の転職エージェント、リージェントの加地です。
今回は面接に関して、特にお伝えしたい3つのポイントをご紹介したいと思います。

自己紹介は「2分30秒」以内にまとめる

新卒・中途採用に限らず、面接の中で質問されることが多い「まずは自己紹介をお願いします」というフレーズに対して、皆さんはどのようにお答えしますか?

短く端的に答える方もいれば、ここでアピールをしておいた方が良いと考え、自身の職務経歴を長く語り続ける方がいらっしゃいます。私の経験上、長く話されるケースが圧倒的に多いため、今回は長い自己紹介について触れていきたいと思います。

私たちは面接に同席をさせていただくことが多いのですが、「まずは自己紹介をお願いします」と面接官から言われた後、最も長かった方は15分もの間、自己紹介を続けていました。これは極端な例ですが、5〜10分位の長い間、自己紹介を続ける方が多く見られるのが現状です。

このように長時間、自己紹介を聞いていた面接官は、ほとんどの方が疲れた表情になっていて、良い印象に捉えていただけなかったことが窺えます。せっかくアピールをしようと一生懸命に話したにも関わらず、なぜそのような状況になってしまうのでしょうか?

皆さんも人と会話をしている中で、ずっと相手の話を聞き続けている時に、「疲れた」という感情をお持ちになったことがあるのではないでしょうか。人は話している時よりも、聞いている時の方が疲れを感じやすいですし、応募者の話を集中して聞こうとしている面接官は尚更です。



ここでお伝えしておきたいポイントは、人が話を集中して聞ける時間には限界があり、それは「2分30秒」と言われていること。これ以上の時間は集中して聞くことができず、頭に入ってこないし、疲れてしまう・・・ということです。

面接という場面では、ついつい自分をアピールしようとして、詳しく話をしたくなるものです。特に、複数の会社で様々な経験を積み重ね、数多くの実績をあげてきた方ほど、そのような傾向が見られ「経歴を全て説明しようとすると、どうしても時間がかかってしまう」といった声が聞こえてきます。

そこで意識をしておいていただきたいのは、
・面接は相手とコミュニケーション(会話)の場だということ
・まずは、アピールしようという気持ちを抑えること
・経歴を全て説明しようとしないこと
という3つのポイントです。

それと、もう1つ、自己紹介する内容のヒントをお伝えしておくと、職務経歴書の冒頭に記載される「職務要約」がポイントになります。職務経歴書を作成する際に、口頭で簡単に自分自身を紹介することをイメージしながら「職務要約」をまとめておくと、自己紹介がしやすくなります。

人によって異なりますが、だいたい5〜8行位、文字数で言うと200〜300文字(少なすぎず多すぎず)のボリュームでしょうか。2分30秒以内で自己紹介をするには、ちょうど良い情報量ではないかと思います。

自己PRは「具体的なエピソード」で伝える

皆さんは面接時の自己PRと聞いて、どんなことをイメージされますか?「それでは自己PRをお願いします」と面接官から聞かれた経験をお持ちの方は、その時のシーンが思い出されるのではないでしょうか?

確かに「自己PRをお願いします」とか「自己PRは何かありますか」など、ストレートに質問をしてくる面接官もまだまだ多いため、そう認識されても無理はないかと思います。

但し、今回お伝えしたいのは、自己PRを求める質問に答えることだけが自己PRではなく、面接を通じた会話のやり取り自体を自己PRの場であると捉えて頂きたいということです。

面接官が知りたいと思っているのは、どんな人(タイプ)で、何ができる(スキル)人か。

それを探るために、応募者の事実・経験に注目して「何をしてきましたか?」「その経験から何を得ましたか?」といった質問を行ってきます。こういった質問に、しっかりと答えられることが自己PRそのものとなります。

そこで、ポイントとしてお伝えしておきたいのが、「覚える」のではなく「思い出す」ことが、自己PRのコツであるということ。

・実績をあげるために何をしたか?(行動)
・その行動をしたのは何故か?(考え)
・その成果はどうだったのか?(結果)
・その経験から何を得たのか?(学び)

まずは、上記の観点で、自身の経験を思い返してみてください。そして、数字面や具体的な動きを、できるだけ細かく思い出してください。この情報が、自己PRを行う上で非常に大事となります。自己PRは、うまく話せれば良いのではなく、面接官にちゃんと伝わるかどうかがポイント。

思い出して頂いた数字や具体的な動きを交えたエピソードを話して頂くことで、面接官が頭の中でシーンをイメージすることができ(可視化)、応募者のスキル・タイプが伝わりやすくなります。



以下、AさんとBさんの自己PR例を比べてみて、いかがでしょうか?

<例:Aさん>
私は、お客様の目線で活動することが大事だと考えているので、いつもお客様の立場になって、一生懸命、営業活動に努めてきました。

<例:Bさん>
私は、1日平均10社に対して新規訪問を行ってきました。商品を売り込むことよりも、お客様のニーズは何かを考え、課題をヒアリングし、そこに応える情報提供を徹底して行いました。その結果、2回目訪問のアポイントをほぼ100%頂くことができ、20%だった商談化率も60%へと上昇することができました。

そうは言っても、様々な経験をしてきているので、思い返すのが難しいという方もいらっしゃるかもしれません。そういう場合は、職務経歴書を作成してみてください。

なかなかパワーが必要なものですが、「この時は・・・あの時は・・・」と考えながら作成していくことになりますので、「●●の時は●●があって大変だったけど、思い返せば充実していて成長できた経験だったな」など、記憶が蘇えると同時に、自己理解や整理が進むのではないかと思います。

オンライン面接は「反応力を上げること」を意識する

コロナ禍によってすっかり定着したオンライン面接ですが、「スケジュール調整がしやすい」「交通費などの負担が軽減される」など、特にUターン・Iターン転職を検討している方々にとっては非常に大きなメリットがある一方、「雰囲気が伝わりづらい」「感覚が掴めない」をいった難しさも浮き彫りになってきています。

このようにオンライン面接が難しいと感じる要因には「視覚情報が限定されること」が影響しています。

皆さんは、メラビアンの法則という言葉を、お聞きになったことがあるでしょうか?
人が人を判断する時に、「会話の言語情報」よりも、「話し方(聴覚情報)や見た目(視覚情報)」の影響を受けるというものです。

特に、表情・視線・しぐさ・服装・外見・髪型・身振りなどの「見た目(視覚情報)」が感じづらく、また相手にも伝わりづらいため、難しさを感じてしまうのです。

そこで、皆さんにお伝えをしておきたいオンライン面接の対策は、リアル(対面)面接以上に「反応すること」を心掛けて頂きたい、ということです。

・より一層「伝える」を意識する(声の大きさ、トーン、目線など)。
・目線はPCカメラを意識。手元に書類を置いて見ながら話すと目線がずれるので注意。
・面接官からの見え方を想像し、振る舞いに気を配る。
・メモを取るときには下を向くことになるので事前に一声かける。
・挨拶、お辞儀、頷き、笑顔などを意識的に行う。
など

静かで整った環境を作る(カメラに映る背景も面接を意識する)ことや、可能であればマイク付きのイヤフォンを使用するなど、雑音が入らないような気遣いも欠かせないポイントかと思います。



ただ、こうした対策をしてもオンライン面接には限界があります。

コロナ禍の状況になってから、オンライン面接だけを経て、転職をした方々を何名もサポートさせて頂いたのですが、面接時に思っていたイメージと異なっていたという声が、決して少なくありません。

「思っていたイメージ」というのは、「雰囲気」や「感覚」といった私たちが無意識に感じる言語化できない部分であり、リアル(対面)面接でないと感じ取ることが難しいものです。これは、転職希望者に限らず、企業側からも同様の声が聞かれています。

そのような気づきを背景に、現在では、オンライン面接とリアル(対面)面接のハイブリッド型で選考を行うケースが増えており、定着してきていると言ってもいいかも知れません。

多くの場合、1次面接はZoomなどのWeb会議サービスを活用したオンライン面接を実施し、2次面接では実際に来社して頂いて対面で面接を行うプロセスとなっています。

これは主にUターン・Iターン転職の場合であり、居住地の近くの会社に応募する場合は、オンラインではなく、全て対面面接に切り替わっているケースが多い印象です。

また私たちも、転職希望者の方々にも企業側にも、必ず一度は直接お会いして決断して頂くことを推奨しています。せっかく入社しても「こんな筈ではなかった・・・」とならないためにも、雰囲気を掴むことや感じることは、非常に大事なポイントであると思います。

この記事を読んで頂いている皆さんも、オンラインだけでなく、一度は志向する会社に訪問し、対面コミュニケーションをとられた上で、企業を見極めて頂ければと考えています。



筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

加地 盛泰Kaji Moriyasu

愛媛県四国中央市出身。専修大学法学部を卒業後、大手旅行会社の勤務を経て、東京から四国へU ターン。株式会社中四国リクルート企画(リクルート100%出資)に入社し、以来、「新卒採用」「中途採用」「社員教育」「人事制度構築」などHRM 領域全般に携わる。株式会社リクルートに転籍後は、HRカンパニー地域活性営業部、中四国グループ、四国グループのゼネラルマネジャーを歴任し、2011年に同社を退職。2012年、株式会社リージェントを設立。現在は、候補者向けの転職コンサルティング、企業向けの採用コンサルティングや人材育成トレーニング活動などに携わっている。