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可能性を広げてくれるキャリアパートナーの見つけ方

皆さんには、自身のキャリアについて相談できる「キャリアパートナー」はいますか?

日頃、私たちにご相談をいただく方々の中には、「転職をするべきかしないべきか」「転職したいけれど、自分の市場価値がわからない」とお声がけをくださる方がいらっしゃいます。終身雇用制が崩れて転職が当たり前になった今、たとえ転職を決めていなくても、誰でも一度は自身のキャリアや市場価値について考える機会があるのではないかと思います。

そのような局面で、どんな人に相談をすると、求めている答えは見つかるのでしょうか。私自身も20代後半の時に、30代以降のキャリアについてとても悩んだ時期があり、その当時の上司や先輩に相談したことがあります。

真剣に私の話に耳を傾けてくれましたが、「どうなりたいんや?」という上司からの問いに、思い描いていた道を答えたものの、どうやってその道を目指すべきなのか、そもそもこれまでのキャリアは一般的にどう見られるのかなどがわからず、堂々巡りになってしまった経験があります。

次のキャリアを考えていく時に、自身のキャリアを一緒に振り返り、考えや気持ちを整理したり、客観的な意見をしてくれるようなキャリアパートナーが身近にいると安心ですよね。今回は、そんなキャリアパートナーをテーマに、お話をしていきたいと思います。

なぜキャリアパートナーが必要なのか?

まずはキャリアパートナーの必要性について「個人の変化」「外部環境の変化」の2つの観点からお伝えします。

<個人の変化に対応するため>
学生を卒業して、会社に入社したばかりの頃は、同じ会社の先輩や上司がキャリアパートナーとしてアドバイスをくれるケースもありますよね。

しかしその後、3年、5年と社会人経験を積む中で、主任や管理職など組織での役割が変わり責任が重くなると、新人の頃のように社内でキャリアパートナーを見つけることは難しくなっていくように思います。

また、社会人としての能力や経験、知見が広がっていく過程で、仕事に対する価値観や興味も変化していきます。その他、異動や家庭環境、健康状態、ライフステージの変化など、意図しない形で起こる変化もあります。

こうした様々な変化に対して、ただ漠然と流れに任せるのではなく、節目節目で自身のキャリアを客観的に整理し、選択・行動していく必要がありますが、自分一人の力でキャリアの方向性を明確にすることは容易ではありません。

<外部環境の変化に適応するため>
自然、政治、経済、法律、市場の動向など、外部環境は目まぐるしく変化をしています。また、終身雇用の減少や働き方の多様性など、社会構造も大きく変化しています。

これらの外部環境の変化に適応していくためには、自身のキャリアにしっかり向き合い、方向性を修正しながら定めていくことで、変化を新たなチャンスとして前向きに捉えていく必要があります。

日々目の前の仕事に取り組みながら、これまでの経験を振り返り、外部環境の変化を把握しながら、客観的に自身のキャリアを理解していくことはとても難しい作業です。

そのため、キャリアパートナーに壁打ちして、キャリアや志向性、価値観や希望を対話の中で整理していくことが大切になります。



転職エージェントもキャリアパートナーの選択肢のひとつ

身近にキャリアパートナーとして話を聞いてくれる方がいればいいですが、近くにそんな人はいない、という方も多くいらっしゃるかと思います。そうした場合は、信頼できる転職エージェントを見つけ出すことも一つの方法です。

関係性が築けるまでに少し時間がかかるかもしれませんが、職業選択や能力開発に向き合うことを生業とした転職エージェントにキャリアパートナーとなってもらうことができれば、より包括的・客観的に意見をもらうことができ、キャリアに対する視野が広がるだけでなく、市場価値を高めるきっかけが得られるかもしれません。

ただ、転職エージェントも千差万別ですので、あなたの志向性や価値観に合ったキャリアパートナーになり得るかどうか、しっかりと見極めていくことが大切です。見極める観点として、以下のポイントを参考にしてみてください。

<信頼関係の構築>
人生における重要な情報を共有する相手になりますので、大前提として、個人情報の取り扱いに慎重であるエージェントを選択してください。

また、すぐに転職をしない場合や転職先が決まらなかった場合には、エージェントとの相談期間が長くなる可能性がありますので、長期的な信頼関係を築けるかどうかも大切なポイントです。

<相性>
自分のことを理解してくれているか、寄り添ってくれているか、という観点も大切です。履歴書や職務経歴書などの、経歴や資格、“やってみたい”という希望職種だけで企業とのマッチングをするのではなく、価値観や志向を理解した上で企業や求人に関するアドバイスをしてくれるかどうか確認しましょう。

自身を取り巻く状況や心の葛藤、希望する転職のタイミングなど、仕事だけでなくプライベートも含め人生全体を通したライフデザインとして寄り添ってくれるエージェントを選ぶようにしてください。

<専門性>
業界や職種に精通しているかどうか、最新のトレンドや市場動向を把握しているかどうかも非常に重要です。上記でお伝えした外部環境の変化を理解した上で、自身のキャリアを客観的に見ながら意見してくれているかどうか見定めてください。

<企業の理解>
紹介してくれる企業や、人材を募集している部門のことを深く理解しているかどうかも重要なチェックポイントです。求人票だけを提示されて、企業の状況や人材募集の背景、どんな人達と働くのか、自分のどの経験が活かせるのかなどがわからないまま、応募する企業を選択することは難しいと思います。

企業の経営者や事業責任者などのキーマンと繋り、企業の状況(ビジョンや課題)や人材募集の背景などを把握しているかどうかもエージェントを見極める一つの指標になります。

<サポート体制>
転職活動全般にわたる継続的なサポートと、転職後でもキャリア相談などに対応できる体制を持っているかどうかも確認するようにしましょう。

転職後、活躍していくためには適応していく自身の努力も必要ですが、企業側の受け入れ体制も重要と感じています。私たちはみなさんが転職後も活躍できる環境を整えるために、転職後も企業と連携を取りながら継続的なサポートをさせていただいています。

転職エージェントを選択した後の活動の進め方

信頼できるエージェントを決めた後は、まずは今の状況や考えを率直に伝えながら、活動が中長期になる場合も、定期的に何度でも情報交換をすることをおすすめします。

ご相談者の中には、「まだ転職を決断できていないなかで、こんなことを相談してもいいのか・・・」と遠慮される方もいらっしゃいますが、全く問題ありません。お話をお聞きするなかで、転職がベストな選択ではなく、現職に残った方が良いと感じる場合もあります。そのような場合は、率直にそうした意見をお伝えしています。

上記にお伝えしましたように、判断ができずに自分の中でモヤモヤと考えるよりは、信頼できるエージェントに客観的な意見をもらうことで解決することも多々あります。

そして、最後は「自分で選択した」という感覚を持つことも重要です。どんなに信頼できるエージェントから様々なアドバイスや選択肢を示されたとしても、最後は自己選択したという自覚をもって主体的にキャリアを切り開いていく姿勢が大切だと感じています。

自分が人生の主人公として、数ある分岐点で後悔のない選択をしていけるように、信頼できるキャリアパートナーを見つけていただきたいと思っています。


筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

溝渕 愛子Mizobuchi Aiko

高知県高知市出身。大学卒業後、総合リース会社に就職。地元の高知支店に配属されリース営業に従事。その後、大阪に転居し、株式会社リクルートに入社。HRカンパニー関西営業部の新卒・キャリア採用領域で企業の採用活動をサポート。また、派遣領域では関西・中四国エリアの派遣会社への渉外業務に従事。四国へのUターンを決意してリクルートを退職。香川県の人材サービス企業に転職し、管理部門にて、社員の労務管理、新卒採用活動に従事。その後、株式会社リージェントに入社。今ハマっているのは、限られた自由な時間を有意義に過ごすこと。1日にジャンルの異なる数冊の本を、少しずつ読むことを楽しんでいる。