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転職の回数は多いと不利?面接における転職理由の伝え方

自分の転職回数が企業にどう受け取られるのか、不安に感じている方もいらっしゃると思います。
特にUIターン転職の場合、首都圏などのより大きな市場で成長やスキルアップを目指して転職を重ねたことが、地方の企業で受け入れてもらえるのか、読めないところもあるのではないでしょうか。

今の転職市場は一昔前に比べると転職回数に対するイメージは随分と変わってきていることを感じています。転職希望者の職務経歴書を見て、業界によっては30代半ばで4社、5社、6社・・という経験を目にすることも少なくありません。予測不可能な時代でキャリアを築くために、転職によってスキルや経験を高めていくことは一般的な選択となりつつあります。

一方、企業にとっても少子高齢化による労働人口減少問題やグローバル化や技術革新に対応するために、あらゆる方法で良い人を採用していくことが課題になっています。こうした社会の変化を見ると、転職の回数の多さだけが不利になるとは言い切れない昨今です。

しかし、実際はまだまだ転職回数の多い転職希望者に対して「短期間で退職してしまうのではないか?」など、ネガティブな想像をする企業が存在することも事実であり、「色々な経験をしていて良いですね!」と前向きに捉えていただけるケースは少ないと考えたほうが無難です。ただ、ちゃんとした理由があってキャリアについて真剣に考えた結果、転職回数が多くなってしまったのであれば、その背景や理由をしっかり伝えることで企業側の理解を得ることはできます。

面接における転職理由の伝え方

面接では単純に退職理由を考えるのではなく【あなたの転職ストーリー】を伝える意識を持つと良いでしょう。最初の就職から現職に至るまで「退職理由⇒次の会社の志望動機⇒その会社で残した実績」の展開を意識しながら、そこに「一貫性」を持たせることが重要です。いくつか事例をご紹介します。

【事例①:43歳男性 5社経験 東京からIターン(※奥様が香川出身)】



▼経歴
1社目:新卒で印刷会社の営業職
2社目:資材商社の営業職・新規事業の立ち上げを経験
3社目:ITエンジニア派遣会でWEB開発
4社目:コンサルティングファームでデータサイエンティスト
5社目:事業会社で最先端システム開発

▼実際に伝えた転職理由
新卒で印刷会社の営業職を経験後、家業を継ぐことを想定して商社での営業職と新規事業の立ち上げを経験しました。しかし家業を畳むことになり、新しいキャリアとしてIT領域への挑戦を選択しました。キャリアのスタートではフリーランスや派遣社員としてWEB開発を経験して実力を身に着けた後、より高度な実務経験を求めてコンサルティングファームにデータサイエンティストとして転職をしました。データ分析を通して多くの企業の課題解決に関わる中で、外部からのコンサルティングという立場では自身が開発したシステムが現場でどう活用されるのかまで関わることができず、システム運用後にも関わる経験が積みたいと考えて事業会社への転職を希望。現職では自社のAI領域の最先端システム開発に取り組み、開発から運用・改善まで関わることで、より広い視野で業務に従事することができています。

▼この事例のポイント
営業からIT領域に転換した背景をちゃんと伝え、派遣社員からデータサイエンティストとしてのキャリアアップを目的とした転職であることを一貫して伝えています。

【事例②:32歳女性 4社経験 大阪からUターン】



▼経歴
1社目:新卒で出版会社の編集
2社目:人材情報サービス会社で営業職
3社目:人材派遣会社で営業職
4社目:大学のキャリア支援センターでキャリアコンサルタント

▼実際に伝えた転職理由
世の中に情報を「伝える」仕事に就きたくて新卒で出版会社に入社しました。しかし、労働環境などが入社前に聞いていた内容とは全く異なり、同期が次々に辞めていくことに強い不安を感じていました。こうした苦しい経験をしたことを機に「求職者の人に正しい情報を伝えたい」と考えて人材情報サービス会社への転職を決意しました。営業として企業の担当者と採用の話を色々としてきましたが、そうしたやり取りの中で今度は転職者側の気持ちを知った上で両方をつなげる仕事に従事したいと考えるようになり、人材派遣会社への転職を選択しました。在職中にキャリアコンサルタント資格を取得したことを機に、女性としてのライフイベントを迎えながらも専門性を持ってキャリア形成を図りたいと考えるようになりました。現在は実践を踏むことを優先し、大学のキャリアカウンセラーとして学生に「正しい情報」を伝えることに力を注いでいます。

▼この事例のポイント
自身の苦い経験をスタートに「求職者に正しい情報を伝えたい」という一貫した意思が転職の背景や動機に表れています。

転職回数の多さに対して企業が何を見極めたいか

企業は転職の回数に対して「それがキャリアに対する真剣さから来ているのか、それとも単に続かない(例:飽き性)だけなのか」を見極めたいと考えています。上記の2つの事例には、キャリアに真剣に向き合う姿勢や転職理由の一貫性が表れていると思います。実際、書類選考も難なく通過し、面接でも転職回数や理由についての懸念は持たれることはありませんでした。

もしも転職回数が理由で書類応募が通らないないという方は、履歴書や職務経歴書に自身の【転職ストーリー】を明確に書いて提出することをお勧めします。一つ一つの転職理由、その後の経緯に一貫性が見出せれば、企業は「よし、面接で詳しく聞いてみよう!」と考えるはずです。決して良く見せようとしたりせず、誠実に説明すれば、きっと伝わります。

最後に

ここまで「転職回数の多さを企業に伝える方法」をご紹介してきましたが、大前提として少ない転職回数で理想的なキャリアを築けるのであれば、それに越したことはありません。今は世の中に転職情報が溢れ、すぐに転職できる環境があります。だからと言って安易な転職を続けてしまっては、いくら転職理由を磨いたとしても企業にそれを理解してもらうことは難しくなってしまいます。

転職はやはり人生における一大イベントとも言える重要な決断です。決して軽々しく考えず、いざ、転職をするときにその理由を堂々と説明できるような日々を送っていくことが、何より大切なことだと思っています。


筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

四ノ宮 こころShinomiya Kokoro

香川県出身。大学卒業後、ITベンダーを経て株式会社リクルートへ入社。新卒採用における組織課題抽出、採用計画策定、企業広報及び選考プロセス設計から入社後育成までのコンサルティングに携わる。10年間のキャリアを経て関西への転居を機に、キャリアコンサルタントとして自身の専門性を高めたいと考え、地元四国の貢献に繋がれば、との想いから株式会社リージェントへ入社。現在は同社大阪オフィスにて勤務。