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「自分には武器がない」は本当か?ポータブルスキルを「翻訳する」重要性について。

こんにちは!株式会社リージェントの武市です。

日ごろ転職やキャリアに関するご相談をいただく中で、「自分には強みとしてアピールできるような経験やスキルがなくて・・」というお悩みを伺うことがあります。これまで真面目に仕事と向き合い、着実に経験やスキルを積み重ねてこられたのに、なぜそのように感じられるのでしょうか。

実は、こうしたお話をよくよく聞いていくと、実は強みが「ない」のではなく「自分で気づいていない」「言語化できていない」ということが分かってきます。

その強みの多くは、業界知識や資格といった外に示しやすいものではなく、業界や仕事内容が変わっても活かせる持ち運び可能なスキル、いわゆる「ポータブルスキル」と呼ばれるものです。

これらをどう言語化し、キャリアに活かしていくか。今日はコンサルタントの目線から解説してみたいと思います。

ポータブルスキルとは何か

厚生労働省によると、ポータブルスキルは以下のように定義されています。

“「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことです。
ポータブルスキルの要素は「仕事のし方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」において、9要素あります。
【仕事のし方】は仕事における前工程から後工程のどこが得意かをみており、【人との関わり方】はマネジメントだけでなく、経営層や、上司、お客様など全方向の対人スキルをみています。”

<ポータブルスキルの要素>



参照:「ポータブルスキル見える化ツール」厚生労働省

このように、ポータブルスキルは仕事上の「実績」ではなく「取り組む姿勢や工夫」に紐づくスキルであると言うことができます。

なぜポータブルスキルの言語化(翻訳)が必要なのか

たとえば転職活動においては、以下のような効果が期待できます。

①誰にでも伝わる強みとして語ることができるようになる

選考段階では、人事や経営層など、専門領域以外の方からのジャッジを受ける場面も出てきます。そうした場合にも「これは自社でも活かしてもらえそうだな」「こうした仕事との向き合い方をしてきた方なら、自社の社風にも合いそうだ」など、業界や職種に限らないご自身の強みとして伝えることができます。

②業界や仕事内容に縛られずに、自分に合う仕事や会社を考えられるようになる

ご自身のポータブルスキルを自覚することで、業界や職種ではなく「こうした仕事の進め方のところで活かせそうだ」「業界知識さえ身に付ければ、この強みが活きてくるかもしれないな」など、これまでよりも広い視野で企業や求人を見ることができるようになり、結果として活躍できる環境を選ぶ近道となります。

また、こうした言語化をしていく中で、「現在の仕事のやりがいを改めて感じられた」「自分のやってきたことに自信が持てるようになった」など、転職活動に限らないポジティブな声もよく伺います。そうした気付きがご自身のキャリアを描くうえでは非常に重要であることも、申し添えておきたいと思います。

翻訳の方法とプロセス

それでは実際に、どのようなプロセスでポータブルスキルを言語化していくと良いのでしょうか。様々な方法がありますが、ここでは一例としてご紹介します。

(1)これまでの仕事内容を全て書き出す。
(2)その中から「これは頑張った・大変だった・楽しかった」など、印象に残っているシーンをピックアップする。必ずしも結果や評価に繋がったシーンでなくてかまいません。日頃、意識していることや大事にしていること、誰かに褒められたこと、といった観点でもOKです。
(3)そのシーンについて、なるべく微細に書き出す。ここで大事なのは「結果」ではなく「プロセス」です。自分がどう考え、どう行動したのか。エピソードとして一連の流れで書いてみると分かりやすいと思います。
(4)そのシーンの中で、特に「他の人はやっていない、自分だけの工夫」を書き出す。
(5)その工夫について、なぜやろうと思ったか、やってみてどうだったのか、それに対する周囲の声や評価、結果(あれば)を書き出す。
(6)見えてきた自分の強みを総称して名前を付ける。

重要なのは、ご自身の経験や業績といった表層的なものを書き出す(=直訳)のではなく、それらを総合的に捉えて「結局のところ、何をしてきたのか(=翻訳)」を整理することです。

ポータブルスキルは直訳しても見えてこないため、上記のようなプロセスを辿りながら俯瞰し、共通項を探ることが必要になってきます。例えば、部署や会社が変わっても同じような取り組み方で成果を出してきたのであれば、その取り組みの工夫にあなたのポータブルスキルがあるのかもしれません。

実際の転職成功例

ここでは、実際にご支援した方のポータブルスキルをご紹介します。

【1】飲食店の個人事業主 → 商業施設運営会社 飲食事業推進業務
この方のポータブルスキルは、一人で上流から下流まで一連の業務を担える責任感と業務遂行力、そしてお客様や関係各所と円滑に連絡・調整を行うコミュニケーション力の高さです。これらの強みは、将来的には同事業を一人で担い、仕入先への発注からお客様先への納品まで一連をお任せしたいという企業のニーズにマッチし、無事入社決定となりました。

【2】公務員 → 広告代理店 広告企画・推進業務
公務員の方は行政の特性上、数年ごとにあらゆる部署への異動が発生するため、即戦力として専門性を求めたい民間企業への転職において、苦労されるケースがあります。
しかし、この方の場合は、正確な書類作成能力や異動先でも早期に業務遂行する適応力をポータブルスキルとしてお持ちであり、今後自治体向けのビジネスを拡大させていきたい企業にとっては、自治体特有の契約方式や組織体制を熟知していることも強みとなり、無事入社決定となりました。

このように、ご自身の経験からポータブルスキルを言語化することで、企業側のニーズと幅広い観点でマッチングを行うことができるようになり、当初は思いもよらなかったような企業とのご縁に繋がる可能性が出てきます。



ここまでポータブルスキルの言語化について解説してきましたが、いかがでしょうか。

実際に取り組んでみると、ご自身のことを俯瞰して言語化する難しさを感じる方もいらっしゃると思います。「これくらい普通なのでは」「他の人の方がもっと上手くやっている」など、自分への評価はおのずと厳しくなるものです。

上手く進まない時は、第三者を頼ってみることもお勧めします。
我々コンサルタントはもちろんですが、同僚や上司に自分の仕事ぶりがどう見えているか、聞いてみるのも一つの手段です。もしかしたら、自分では当たり前と思ってきたことや自然にやっていたことから、あなたならではの強みが見えてくるかもしれません。

実際、私との会話を深める中で「言われてみたら確かに」と、ご自身の強みを自覚する方も多くいらっしゃいます。第三者の私には「すごい」と思えることも、当人にとっては「意識せずとも前から出来ている普通のこと」である場合が本当に多いのです。

一人でも多くの方がご自身の「武器」を自覚して、一層充実したキャリアを選択していかれることを心から願っています。


筆者プロフィール

コンサルタント

武市 理佐Takechi Risa

高知県高知市出身。新卒で東京の求人広告会社(リクルートトップパートナー)に入社し、東京都港区を中心に、メーカー・不動産・IT・広告など多岐にわたる業界の大手上場企業からベンチャー企業までを対象に、新卒および中途採用の支援に従事。2017年、「地元・高知のための仕事がしたい」という思いからUターン。大学法人および県庁にて、地域連携や産学官民連携事業に携わる。学生の就職支援や経営者を対象としたビジネスセミナーの企画・運営を通じて、高知で働く魅力創出に尽力。リージェント入社後は、四国全体の地域活性化を目指し、四国へのU・Iターンを希望する求職者に対してキャリア相談や転職支援を行い、四国とのご縁を結んでいる。