GROUP DISCUSSION2023.9.29

社会の健康を守る成果は、四国から生まれる。ーBIKEN財団・杉本氏、清野氏ー

GROUP DISCUSSION2023.9.29

社会の健康を守る成果は、四国から生まれる。ーBIKEN財団・杉本氏、清野氏ー

日本における感染症対策がまだ黎明期だった1930年代。西日本の交易の中心地である大阪に、人々を感染症から守るための研究機関が必要だという熱意のもと設立されたのが、阪大微生物病研究会(BIKEN財団)です。
大阪大学の微生物病研究所が基礎研究を行い、BIKEN財団は応用研究と、それに基づくワクチン開発・製造を担当する、大学発ベンチャーの先駆けです。BIKEN財団は香川の観音寺に技術開発と製造の拠点を置き、約90年にわたってワクチンを開発・供給し続けています。財団で働く杉本氏と清野氏に、四国ならではの働く価値についてお聞きしました。

感染症で命を落とす子どもが激減したのは、ワクチンのおかげ


四ノ宮
BIKEN財団は創立から約90年と、長い歴史がありますね。
杉本
1930年代、日本における感染症対策はまだ発展途上で、特に西日本には、感染症予防を行なう組織が存在していませんでした。そこで、西日本の交易の中心地であり、海外からも多くの人や物が運ばれてくる大阪に、人々を感染症から守る研究機関を立ち上げようと考えた研究者や篤志家がいました。その方々の尽力により、1934年に財団法人として誕生したのが、阪大微生物病研究会(BIKEN財団)です。基礎研究は大阪大学の微生物病研究所が行ない、BIKEN財団は応用研究とワクチン等の製造・検査、供給を担うという役割分担でスタートしました。戦前にこのような形態を整えた例は極めて珍しく、大学発ベンチャーの先駆けと言えるでしょう。
その後、2017年に、ワクチン製造における生産管理や品質管理の向上と、迅速な供給体制の確立を目的に、田辺三菱製薬(株)との合弁で(株)BIKENを設立。「財団」と「株式会社」をあわせてBIKENグループとし、それぞれの組織の特長を活かした好循環をめざしています。
BIKENグループでワクチンの製品化に向けた技術研究、工業化研究、及び製造の中核拠点を担うのが、香川県観音寺市にある観音寺研究所、及び瀬戸センターです。
四ノ宮
当時は現在と比べ衛生状態も良くないので、病気になる人も多かったでしょう。
杉本
栄養不足もあり、多くの子どもが感染症で命を落としていました。とりわけひどかったのが終戦直後です。海外に出兵していた方々が国内に戻る際、病気も持ち込んでしまう。それを悲惨な衛生環境に迎え入れないといけない。例えば発疹チフスでは戦後3万人が感染し、多くの方が亡くなっていました。早急にワクチンを作る必要があったのです。
1970年代頃から、子どもに様々な感染症ワクチンを定期接種することが、国の方針として定められました。医療技術の発達とともに、ワクチンの普及により、感染症で亡くなる子どもの数が減っていきました。日本の平均寿命はその後伸び始めるのですが、その要因の一つとしてワクチンの貢献もあるのです。
BIKEN財団はワクチンの普及に貢献し続けてきました。定期接種となっているワクチンの多くをBIKEN財団で供給しており、人用のワクチンでは国内最多品目を誇ります。お子さんの母子手帳がある人は、ページをめくってみてください。接種ワクチンの製造元として、おそらく一つはBIKEN財団の名があるはずです。
四ノ宮
多くの感染症が今ではかからないことが当たり前の社会になりつつあるのは、BIKEN財団を始め研究者の方々がワクチン開発に尽力したおかげ、とも言えそうですね。
杉本
ですが、それはごく最近、しかもほんの一部で、ワクチンのない感染症の方が圧倒的に多いんです。その中で、人間社会に影響を及ぼしやすく、重篤になりやすいものから研究や開発が試みることが行われてきています。しかし現実には、試験研究段階の難易度だけではなく供給体制を整える難易度の高さとか、人々の手に届きやすい価格にまで下げられるかどうか…など、複雑な要因が絡んできます。

組織の姿勢を広く伝えるため、ミッションやビジョンを整備


四ノ宮
社会の広範に影響を及ぼすワクチンの製造拠点が観音寺にあるとは、失礼ながら存じ上げませんでした。「阪大」の名がついているので、香川の人もまさか観音寺にあるとは思わないのかもしれません。
杉本
私は30歳で地元にUターンしてBIKEN財団に転職しましたが、それまでは知りませんでした。私は、BIKEN財団が最初に中途で採用した人材の一人ですが、専門は機械工学なんです。転職にあたり、機械系の経験が活かせる仕事がしたいと人材紹介会社に相談し、リストアップされた1社がBIKEN財団でした。BIKEN財団は当時、製造施設の更新と拡充を検討しており、その建設プロジェクトに携わるエンジニアを求めていたのです。
担当した新しい施設が完成し、ワクチン供給数が拡大すると人も一気に増えてきました。さらにワクチン需要が高まり、さらに新たな施設整備が必要になってきました。
新たな事業所整備に伴い、用地獲得や行政機関や自治体などとの調整に関する仕事も出てきます。そこで私は、総務を任され、次いで人の増加に対応する人事を担うことになり、現在に至ります。
私の入社した頃は中途人材が珍しかったためか、職場の方々にも戸惑いがあったように思います。新たな施設を作り上げる際に、知見も経験も異なる者どうしで、いい意味で意見を戦わすという事を通し、少しずつお互いに理解を深めた、という感じです。
四ノ宮
清野さんもUターン転職してこられた方ですが、BIKEN財団のことは知っていましたか?
清野
私は前職が製薬メーカーだったので、杉本さんよりは近い業界にいたと言えるでしょうが、BIKEN財団のことは転職活動を始めるまで知りませんでした。私の大学時代の専門はいわゆる化学系で、ワクチン研究とはかなり距離があったこともあり、新卒の就活時にも全く目に入らなかったのだと思います。
四ノ宮
現在、中途採用の方はどの程度いるのですか。
杉本
現在の職員の半数はキャリア採用です。ここで言うキャリア採用とは、いわゆる中途採用者に加え、契約社員として来てくれた方の社員登用も含んでいます。キャリア採用が急激に増えるとチームビルディングが難しくなるので、その辺りは職場ごとの実態に合わせバランスを取りながら実施しています。
四ノ宮
もともと中途で入られ、「新参者」の戸惑いも経験された杉本さんが総務人事部長をされておられることは、中途でやってくる人材にとって心強いでしょう。
杉本
無論、私一人の力ではなく、その後に入ってきた中途採用人材が活躍してくれたおかげです。
中途採用を始めた頃は手探りの状態でしたが、今は組織の要望と人材のキャリアをうまくマッチングできるようになりました。
四ノ宮
BIKEN財団はビジョンやミッションも明確に打ち出されています。財団法人で、ビジョン・ミッション・バリューをしっかり共有されているところは、あまりないのではないでしょうか。
杉本
これらも、中途採用者の発案と企画によるものです。
事業に関わる全ての人に向け、また新たな仲間になる人を採用するためにも、自分たちの考えをシンプルに示した方がいい、という提案がありまして。2017年くらいから動き出し、形にしたのが今のミッションやビジョンです。
「ひとりを守る みんなを守る」をスローガンに、

「優れたワクチンを通じて、世界中の人々の大切な命を守る。」
「病の不安から解放された、すこやかな未来をめざす。」

というミッションとビジョンを設定。また、

1.「志」を胸に
2.「誠実」に
3.「革新」に挑み続ける

というBIKEN 3つの約束を明示化しました。
私は特に、「ひとりを守る みんなを守る」という言葉が気に入っています。BIKENグループの役割を端的に、わかりやすく伝えるメッセージだと思います。
四ノ宮
清野さんは転職活動時、このビジョンやミッションを見てどう思われましたか?
清野
ビジョン・ミッション・バリューに込められた想いや企業姿勢から、香川県というローカルにありながら、自分たちの果たすべき役割をしっかり見据え、体制を整えて事業に取り組んでいる。そんな期待を感じさせるメッセージでした。

合理的手法の導入により、生産プロセスを革新させる


四ノ宮
清野さんはどのような仕事を担当しているのですか?
清野
一つは、研究されてきたワクチンの種を商品化まで持っていくためのプロセスを組み、申請の準備をする仕事に携わっています。中でも製品分析・品質評価系をつくるところですね。私が手を上げて取り組んでいるのは、今のBIKEN財団にないけれど、他のメガファーマでは頻繁に使われる技術を導入することです。そのためには技術者も育成しなければなりません。またGMP、すなわち適正な製造・品質管理を実施する上での課題もいろいろ抱えています。それらを克服するため、GMPの組織を作るところから始めようと、責任者として着手しています。
もう一つ、新製品開発のためのプロジェクトがいくつか動いているのですが、これらのCMCパート(原薬研究、製剤研究、品質保証、品質管理などの一連のプロセス)におけるリーダーも任せてもらっています。


杉本
BIKEN財団のワクチンは、「子どもが安心して接種できる安全性と有効性があるもの」を目指し、長い年月にわたる試行錯誤を経た知見をベースに作られています。属人的な技術や分析手法も多く、先達が築いた技術を受け継ぐことで成り立っている、という面もあります。
しかしこれらの中には、今では機械化・自動化できるものも少なくありません。そこで、BIKEN財団でも、合理的な生産プロセスや分析技術を導入しようとしています。今までのやり方を変え、革新する動きを中心となって推進するのが、清野さんのような、財団以外の手法を知るキャリア採用の人々です。
四ノ宮
それはコロナ禍がきっかけですか?
杉本
要因の一つですが、それだけではありません。生産プロセスでも品質管理でも、測る技術を使って定量的に物事を管理できるのであれば、その方がいい。他の領域でも、新たな手法や技術を取り入れ、プロセスを転換しようという発想は、コロナ以前からありました。
もちろん、機械化・自動化・IT化で全ての課題が解消されるわけではありません。基礎・応用・開発いずれの研究も、属人的でないと対応できないところもあります。
従来のやり方も尊重し、より科学的な根拠を探求して信頼性を担保しつつ製品の質や生産性を高めるために、ITや工学的手法の活用を進めよう、というわけです。

複雑系のワクチン開発は「総論」で見る必要があり、難しい


四ノ宮
清野さんは製薬メーカーからの転職ですが、製薬メーカーとワクチンメーカーの違いとは何でしょうか? 門外漢からすると、近いようにも思えるのですが。
清野
ワクチンの場合、気を配らないといけないファクターがとても多いので、治療薬開発よりだいぶ高度なことをやっている感覚があります。
杉本
ワクチンは、機器で分析できる手段だけでは安全性・有効性を担保できません。投与した際の生体の反応を見て、有効性や安全性の判断をせざるを得ないものがあります。
免疫機構にはまだ解明されていないことが多く、長年の試行錯誤から見出された経験則から判断せざるを得ないことも多いのです。全体の相関性の中でこれだったら大丈夫、これだったらダメだ、という判定基準になっています。
その部分を科学的に明らかにしようというのは、なかなか大変です。
清野
治療薬の場合、ターゲットが決まっています。そのターゲットに合わせて分子や抗体を単一にデザインし、目的以外には機能しないようにするのが基本です。しかしワクチンの場合、単一ではなく総体として効果があるものを作っていきます。複雑系なので、何がどう効いているのか絞り込むのは、とても難しいのです。治療薬の開発は「各論」で進めますが、ワクチンは「総論」で進めるものと言えば、違いが分かってもらえるでしょうか。
安全性研究については、双方で大きな差はないと思います。しかし工業化研究や薬理研究は、だいぶ相違があります。
四ノ宮
病気を予防するのがワクチンで、治すのが治療薬という違いもありますね。
杉本
実は、ワクチンを打っても感染する事があり得るという点では、その表現もあまり適切ではないのかもしれません。
感染症にかかるというのは、人体に細菌・ウィルスが侵入して増殖し、症状を起こすことです。
症状がなくても、人間は常に病原性の細菌やウィルスに触れているといっても過言ではありません。
体調を崩すか崩さないかは、結局、その人の免疫機構が細菌・ウィルスの増殖を抑えているかどうか、にかかっているわけです。
ワクチンの役割は、人体の免疫機構の働きを高めやすくするための補助ブースターです。
ワクチンによって細菌・ウィルスの動きを免疫機構に刻み込ませておけば、いざ体内に病原体が侵入してきても、免疫機構によってすぐに増殖を抑えようとする活動が活発になります。例えるなら、スポーツのトレーニングに似ているかもしれません。練習もなしに、初めて野球の守備についたらぽろぽろエラーするでしょうが、何度かノックを受けておけば、試合に出ても球を捕れる確率は向上することが期待できます。
完全にエラーが無ければ、予防に成功したといえるでしょうが、少しエラーしてしまい軽い症状が出るケースもあるでしょう。でも、症状が軽く済んだのであればそれもワクチン接種に期待される効果なのです。
そう考えると、ワクチンは人間社会を取り巻く感染性微生物と、よりうまく共存するためのアイテムと表現できるかもしれませんね。
四ノ宮
基礎能力を鍛えておくのがワクチンの役割、ということですね。


清野
コロナでも話題になったmRNAワクチンは、BIKEN財団が取り組んでいるタイプとはちょっと違います。あれはリアルにノックを受けさせるのではなく、言わば特殊なメガネをかけさせ、バーチャルでウィルスを認識させているのです。
BIKEN財団でも今後、それらの新タイプのワクチンに取り組もうとプロジェクトが組まれています。そうなると「総論」で見ていた手法ではなく、むしろ治療薬メーカーに近い発想になるのかもしれません。しかし、ワクチンであるが故の高いハードルは厳然と存在するので、簡単ではありません。だからこそ、技術者としてやりがいがある、とも言えます。

価値観を共有しながら、組織に横串を刺してほしい


四ノ宮
BIKEN財団が求める人材とはどんな方でしょう。
杉本
自分自身を例にすると、私はもともとワクチン研究や開発がしたくてBIKEN財団を選んだわけではありません。実際の仕事も、研究ではなく、研究や製造を進める環境をエンジニアとして支えることを期待され、BIKEN財団に来ました。そういう意味で、BIKEN財団に対し一歩引いて、第三者の目線で捉えることもできます。それが財団の外からやってきた私の強みであり、この組織における存在意義とも感じます。
清野さんを始め、中途でお迎えする人材には、そのような視点を大切にしてほしいと思います。前職経験を活かし、「このプロセスはなぜこういうやり方なのか」「こういう手法もあるのではないか?」と、どんどん現状を認識した上でよりよく変えていけるアイデアを提言してほしい。従来通りのやり方を踏襲しがちで、縦割りになりがちな部署の壁に横串を刺すことで、BIKEN財団に刺激を与え、もっと進化させてほしい。そんな役割を期待します。
それに加えて、価値観が合うかどうかも重要です。
四ノ宮
BIKEN財団のカルチャーにフィットできる、ということでしょうか?
杉本
そうですね。BIKEN財団の理念やビジョンに合わないと、せっかく来てもらっても続けるのが難しいと思います。特に当社の場合、研究所内で顔を合わせて仕事する時間が長いですから。一つの課題に対し、チームで役割分担して取り組み、成果を出していかないといけない。メンバーと協力し合う仕事である以上、価値観のフィットは大事。その部分が一致していないと、お互いにとって良くない影響が出てしまいます。だから面接などでは、お互いに胸襟を開いて話すよう心がけています。


四ノ宮
第三者的な発想で、業務プロセスに横串を刺し、事業を革新させようという意欲がある。そのベースとして、チームで働く、協働するということを大切にする。そんな人が合っていそうですね。
杉本
チームで働く上ではリーダーの役割が大事ですが、良い意味でおせっかいな人というか、一緒に働くメンバーへの気配り・目配りを欠かさない人がリーダーであってほしいと思っています。
BIKEN財団以外の環境で働いたことのある人は、仕事のやり方や情報収集・共有の仕方について、BIKEN財団とは違う方法があることを知っています。ずっとBIKEN財団にいる人は気付きづらい、業務改善や事業革新のためのヒントを提示してくれるわけです。これがチームの成長のためにはすごく大事です。
キャリア採用の人々が出すヒントを、チームのリーダーがうまくキャッチし、チームビルディングに活かせるようになると、チームも活性化するし、キャリア人材もチームに貢献したというやりがいが持てる。何よりリーダー自身が成長できる。いくつもの相乗効果が生まれます。いっそキャリア人材にリーダーを任せよう、というケースも増えるでしょう。似たような発想の人ばかりが集まったチームからは、なかなかそういった、良い意味のおせっかいが出てきません。キャリア人材には、そこに刺激を与えるような視点やヒントをもたらしてほしいのです。
しかし、新たな事や現状から物事を変えていくことには、必ず抵抗感が生まれます。これを、気配りと目配りで、この抵抗感を溶かすことができる技量があると心強いですね。

四国から、社会貢献度の高い成果を全国に発信する


四ノ宮
清野さんはUターンされて、仕事や生活はどのように変わりましたか?
清野
家族と会いやすくなりました。関西や関東で勤務していた頃、帰省は多くて年に2~3回でしたが、今ではほぼ毎月実家に帰り、家族も喜んでくれています。
仕事面は充実しています。最終面接で「各部署が縦割りになっていて非効率な部分もあるので、横串を刺してほしい」と言われました。それを実現するため、自分に何ができるのか自律的に考えて行動しています。機器の導入によって工程の効率化を図ったり、ある部署にいる人と別の部署をつないだり。最近は任されることも増えてきて、組織での信頼関係もできてきたと実感します。
それほど体系的な導入教育があったわけではないのですが、困っていることを伝えると動いてくれるリーダーや上司が必ずいます。各部署間に横串を刺してジョブローテーションなどを活発化させ、職員の能力開発を進めようというアグレッシブに挑戦する先輩もいるんです。私と同じ中途入社なのに、組織内でキーパーソンと認識される立場にいる先輩も珍しくありません。そういう人々と連携し、BIKEN財団をさらに発展させようと議論を重ねています。
四ノ宮
BIKEN財団を変え、成長させようという意欲を持った人が集まってきているのですね。
清野
改善できるポイントがたくさんありますから。そういう意味で、BIKEN財団は宝の山。実績と技術は確かだし、掘ればいくらでもチャレンジすることが出てきそうです。
四ノ宮
私たちは、四国ならではの会社や仕事、働き方の魅力を伝え、四国にやってくる人を増やしたいと思いながら業務を進めています。お二人は、「四国ならではの働き方」について、どう感じられますか。
清野
BIKEN財団はワクチン開発・製造を通じ、子どもの健康と社会の未来に貢献する、という事業を行っています。香川にいながら、そういう使命感の持てる仕事に就けるのはいいなあと思います。
国内の子どもたちのワクチンをいっぱい作って、感染症に苦しむ人を一人でもなくしたいですね。やがてはグローバルに進出したい…とも思いますし、それができるポテンシャルはあるとも感じますが、まずは目の前の課題を克服することからです。


杉本
私も、BIKEN財団はグローバルに出ていける力を持っていると思います。四国には、そういう会社や組織がたくさんある。地元にいながら、社会に対し大きな責任を果たす事業に携わることはできるのです。
そのためには、従来のやり方をもっと工夫して、合理的な発想・手法を取り入れることで、革新できる領域は大胆に革新していかないといけません。
その点でBIKEN財団は、エンジニアにとって宝の山のような場所だと思います。
業種に関わらず、既存技術の応用や転用によって、成果を上げられる余地が多く存在していると考えています。
コロナ禍で集団免疫という言葉がメディアでも取り上げられましたが、ワクチンは、開発するだけではダメで、広く行き渡らなければ意味がありません。すなわち、社会全般の人々の手に届く価格にしないといけない、ということです。そういう意味で、研究開発や製造における生産性を高める仕事の意義は、とても大きいと思います。
四ノ宮
四国においても、このように社会的意義の大きな仕事に携われると知り、心強く感じました。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

杉本 有一郎

BIKEN財団 総務人事部 部長

1969年生まれ。1990年、鉄鋼メーカーに就職し、機械系エンジニアとしてキャリアを積む。30歳を前に、地元の香川へUターン。BIKEN財団へと転職する。BIKEN財団では主に、機械工学の経験と知識を活かし、施設拡充のためのエンジニアリングを担当。人員の増加や事業の拡大に伴い、総務業務全般に携わるようになる。その後、人事諸制度の整備のため人事部門も兼任。総務人事部長として、キャリア採用などを推進する。

清野 友樹

BIKEN財団 技術研究センター 主任

1985年生まれ。大学では半導体プロセス研究室に所属。2011年、外資系の分析研究所に入所。製薬会社の研究所に出向し、量産化へのスケールアップや、治験化スピード向上を目的とする製造法・分析法の開発など様々な業務を経験。その後、営業部門立ち上げなども経験している。2021年、地元へとUターンし、BIKEN財団に転職。製品分析・評価系におけるプロセスの再構築や新技術・機器の導入などに携わる。外部の目やノウハウを活かし、BIKEN財団の研究開発・製造のプロセスを革新するため、様々な工夫を行なっている。

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