INTERVIEW2022.2.24

徳島のグローバルニッチトップ企業。無いものを生み出すチャレンジとは。ー大塚テクノ(株)大久保 誠司氏ー

INTERVIEW2022.2.24

徳島のグローバルニッチトップ企業。無いものを生み出すチャレンジとは。ー大塚テクノ(株)大久保 誠司氏ー

都市銀行に勤めていた大久保氏が、徳島へIターン転職したのは2009年。当時東京で単身赴任をしていたが、自宅のある関西ではなく、徳島・鳴門での第二のキャリアを選択。人事責任者として中途採用を強化し、事業拡大を牽引してきました。大塚テクノの魅力や四国・徳島で「働く」ことの価値についてお聞きしました。

徳島・鳴門へのIターン転職&単身赴任


吉津
大久保さんはどのようなキャリアを歩まれてこられたのですか?
大久保
大学卒業後、1979年に都市銀行へ入行しました。本部業務が一番長かったですが、支店長や融資・資金証券など幅広い業務を経験しました。当時の都市銀行は50才前後で次のキャリアを選択することが多く、私もそのタイミングでセカンドキャリアを選択しました。
吉津
地縁が無い徳島・鳴門でしたが、なぜ大塚テクノへ入社されたのですか?
大久保
当時大塚テクノから「人事部門を強化したい」とのオーダーがありました。「これまでとはまったく違うところで挑戦してみたい」という気持ちが強く、大塚テクノへの入社を決断しました。
吉津
新たな環境でチャレンジしたい、という想いが強かったんですね。徳島での生活はいかがですか?
大久保
徳島はとても暮らしやすいですよ。物価は安いですし、食事も旨い。また、家賃なども東京と比べると半分くらいのイメージなので、住みやすいと思います。
吉津
単身赴任をされて、何か生活は変わりましたか?
大久保
銀行時代も東京に単身赴任をしていたので、大きく生活は変わっていません。現在は通常、金曜の夜に神戸に戻り、日曜の夜に徳島入りしています。神戸~鳴門だと片道1.5時間程度であまり大変ではないんです。海を渡るという感覚があるので遠いイメージがありますが、高速バスの便数も多く、神戸から米原あたりに行くのと変わりませんよ(笑)。天気予報も徳島は関西と一緒ですし、近畿・関西の文化圏でもあります。香川は岡山、愛媛は広島とつながりが深いと思いますが、徳島は関西とつながりが深いですから。実際に徳島・鳴門には、淡路島から通勤している人も多くいますよ。

面接ではなく、面談から始まる。


吉津
実際にご入社されてからはいかがでしたか?
大久保
当時は業務部の中に人事・総務担当がある組織でした。業務部のメンバーがしっかりしていたので、管理職としての業務に大きな課題はありませんでした。ただ、プレーヤーとしてのミッションの一つとして与えられた「中途採用」には苦労もありました。当時、事業拡大に伴い「即戦力人材」が必須であり、ピンポイントの経験・スキルをもつ人材が求められていました。四国・徳島というエリア条件もあり、候補者を待っていても応募は来ない状況でした。そのため、こちらから候補者のところへ出向き、面談・採用を行うスタイルを継続しています。
吉津
実際に大久保さんには東京・名古屋・大阪まで、候補者に会いに行って頂くことが多いですね。フットワークの軽さに、私も驚くことが多いです。
大久保
私は、「面接ではなく、面談から始まる」という考え方を持っています。面談の目的は、まずは大塚テクノのことを知ってもらうことです。大塚グループの企業ですが、まだまだ知名度が高い会社ではありません。まずは大塚テクノを知って頂き、その上で、相手を知ろうというスタンスで面談を行っています。また、面談でお話する際には、その方が何を実現したいと考えているかを聞かせて頂きます。そして、「実現したいこと」が、大塚テクノに入社することで叶えば、ベストだと考えています。
吉津
最近はWEBツールも増えてきましたが、活用の状況はいかがですか?
大久保
新型コロナウィルス対策も含めて、WEBツールも活用しています。すぐに予定が組めたりするメリットもありますが、これまで直接お会いしての面談が多かったので、少し苦手意識はあります(笑)。メラビアンの法則の通り、言語情報よりも視覚・聴覚というノンバーバル情報が非常に重要だと考えています。表情や身振り・手振り、その方の持つ雰囲気などはWEB面談だと一部しか感じられないので、対面でお話するのが好きなのかもしれません。勿論、面接などの実務的な場面ではWEBも活用していますが、初回の面談についてはできる限り直接お会いして、相互理解を図りたいと考えています。
吉津
これまでの採用活動の中で、一番印象に残っていることは何ですか?
大久保
一番印象的なのは、精密製品事業のある製品の立ち上げの時でしょうか。垂直立上げの為、四国内だけで人材を確保することが困難な状況でした。そのため、大阪や九州など全国の工業団地を回り、当社が求めている人がどこにいるかの情報収集からやっていました。全くつながりが生まれず途方に暮れる事も多かったです。しかし、少しずつ情報と出会いが増えていき、ご縁がつながっていきました。もちろん採用はこちらの都合だけではうまくいきませんが、面談というスタイルで真摯に向き合うことでご縁が少しずつ繋がり、採用・入社に至ったと考えています。

グローバルニッチトップ企業への進化


吉津
2020年に経済産業省からグローバルニッチトップ企業100に選出されました。
大久保
サーマルプロテクターという製品を評価頂き、グローバルニッチトップ企業に選出頂きました。サーマルプロテクターは、簡単に言うと超小型のブレーカーです。精密成形技術と、金属と樹脂の一体化成形技術により、長さ約5mm、厚み約1mmという超小型サイズの精密部品であり、主にはリチウムイオン電池の異常過熱を防止する回路保護部品として活用されています。
吉津
御社は「医療製品」と「精密製品」が事業の柱というイメージがあるので、サーマルプロテクターは意外な印象があります。
大久保
当社は、医薬品の輸液容器のプラスチック部材の生産から事業がスタートしました。その成形技術を活かし、「精密製品」成形加工の分野に進出しました。その後、精密製品の成形加工技術を土台にして、精密部品の技術を加える形でサーマルプロテクターの製品化へとつなげてきました。これまでの技術を土台にしながら、新技術を加えることで新たな事業展開を図っています。
吉津
既存技術に新たな技術を加えて事業展開をしていくという流れの中で、サーマルプロテクターが生まれたんですね。
大久保
その事業展開を推進するために、中途採用を強化して取り組んできました。これまでの経験・スキルを活かして、大塚テクノの既存技術と融合することで新たな分野へと進出をするイメージです。実際にサーマルプロテクターの製品化においても、中途入社した社員を中心に事業成長を牽引してくれました。
吉津
採用によって事業成長が実現したんですね。
大久保
そうなんです。現在は精密部品の技術をベースに、改めて医療の分野を強化していく方針です。新たな医療機器開発のプロジェクトがスタートしており、「在宅医療×高齢者」という文脈の中で弊社が価値提供できるデバイスの開発に取り組んでいます。

「考え方」×「熱意」×「能力」


吉津
中途採用に求める人材要件はありますか?
大久保
中途採用については、経験・スキルを重視しています。つまり、何を持って「貢献」できる人なのかが問われています。これまでの経験を整理し、面談時には自分自身の「強み」を言語化し、それをアピールして欲しいと思います。そして、入社後にその「強み」を活かして、活躍いただきたいです。
吉津
自分自身の「強み」を言語化することは、難しさもありますよね。
大久保
自分自身のことはなかなかフラットに見れないので、難しさもあると思います。イメージとしては、40才になった時に、「あなたの強みは何?」と聞かれたときに、「意志」を持って答えられる人であればいいなぁと思います。30代で強みが固まりきっていない人もいますが、「これを自分の強みにしていきたい」という意志があれば良いと思います。
吉津
大久保さんが大切にしている考え方などはありますか?
大久保
人生・仕事において、大切にしている考え方があります。

「人生・仕事の結果」=「考え方」×「熱意」×「能力」 
※稲盛和夫氏「人生の方程式」から引用

私なりの解釈になるかもしれませんが、前向きな考え方を持ち、熱意をもって貢献しようと取組み、自身の強みを存分に発揮すること。これは全て掛け算ですから、一つでもマイナスがあると全体がマイナスになってしまいます。特に「考え方」や「熱意」の面は、周囲のメンバーを巻き込んでいけるかというリーダーシップにも大きく影響しますので、とても大切にしている考え方です。

四国ならではの「働く」価値とは


吉津
最後に、四国ならではの「働く」価値について、大久保さんはどのようにお考えですか?
大久保
徳島・鳴門に住んで10年以上経ちますが、やはり生活環境の良さがあります。物価も安く、暮らしやすい環境だと思います。また、神戸にも高速バスで1.5時間程度とアクセスも良いので、単身赴任もそれほど苦になりません。そうした環境にいながら、「無いものを生み出すチャレンジができる」ということが「価値」ではないでしょうか。そして、大塚グループのネットワークでグローバルにもチャレンジができます。
徳島・鳴門には、大塚グループが集積しており、大塚グループ自体が大きなベンチャーのようなものです。自由闊達でベンチャー意識を持って働ける環境があり、二番煎じを嫌い、チャレンジすることを推奨する風土があります。
その中でも当社は従業員466名という全体が見える規模感であり、仕事の手触り感・貢献感を感じやすいのも特徴です。大塚グループの制度やネットワークを活かしつつ、小回りの利くベンチャー企業というイメージが分かりやすいかと思います。そうした環境があるので、意志を持って仕事に取り組めばチャンスが多く回ってきます。仕事において挑戦したい夢や目標がある方にとっては面白いステージですし、価値を感じられる環境だと思います。プロパー・中途社員関係なく、「考え方」×「熱意」×「能力」を持った人材が新たな事業を創出できるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
吉津
大久保さんのお話をお聞きして、大塚テクノが今後どのように進化を遂げていくかがとても楽しみになりました。今日はありがとうございました。

大久保 誠司

大塚テクノ(株)取締役 管理本部長(兼)管理本部人事総務部長

神戸大学経営学部卒業後、1979年に都市銀行へ入行。営業・本部にて支店長や部門長等を歴任。2009年、大塚テクノ株式会社に入社。人事総務部長を経て、取締役管理本部長に就任。

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