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30代で愛媛へのUターン転職を実現するために

こんにちは、リージェントの松本です。今回は「30代のUターン転職」についてお話ししていきたいと思います。

私自身、30代で地元へ帰ってきましたが、Uターンを決意しつつも心の中では様々な葛藤や不安がありました。正直なところ「地元に帰っても良い仕事はないんだろうな・・・」という漠然とした諦めがあったことも事実です。それでも、今は生活も仕事も充実した日々を過ごし、地元にUターンしたことを心から良かったなと思っています。

これは私自身の話ですが、愛媛へのUターン転職を実現された方からも「収入は少し減ったが、暮らしは豊かになった」「子育てに関われるようになり、子どもの成長を間近で感じられる」「仕事の規模は小さくなったが、仕事の幅が広がり、やりがいは高まっている」といった前向きなお話をお聞きすることが多く、愛媛で暮らすこと、愛媛で働くことに魅力を感じている方は多いように思います。

もちろん、愛媛での暮らしや仕事が合わなかったという方も中にはいらっしゃいます。Uターン転職を「良かった」と感じている方と「あまり良くなかった」と感じている方の違いは何なのか。これまで愛媛へのUターン転職をお手伝いしてきた実績を踏まえつつ、私の考えをお伝えしていきたいと思います。

Uターンによって叶えたい事を明確に言葉にできているか

Uターンを考え始める時には、何かしらのきっかけがあります。30代の方から良くお聞きするきっかけは以下の3つになります。

①子育て
例えば「家族に出産・育児をサポートしてもらいたい」 「子どもが小学校に上がるタイミングを目途に愛媛にUターンしたい」といったきっかけです。身寄りのいない都市部での子育てに不安を感じたり、転校による子どもの負担をなくすために小学校入学前に地元に帰りたい、といったお話は30代でUターンされる方から一番よく聞くきっかけになります。

②親の介護
これは40代・50代のUターン希望の方に多いきっかけですが、30代の方でも「父親が倒れてしまい、母親一人に介護を任すことは難しい」「まだ元気だが、先々のことを考えて早めに親の近くに住んでおきたい」「親が自営業を営んでおり、週末に手伝いできるように地元にUターンしたい」といったお話をお聞きすることがあります。

③地域貢献
地元の活性化、地方創生に貢献したいというきっかけも30代でUターンされる方からよくお聞きします。「都市部の企業で得た経験を活かして地域の発展に貢献したい」「現職でリモートワークすることもできるが、どうせなら直接地元の企業に勤めて生まれ育った愛媛を盛り上げていきたい」と、地元への想いを語ってくれる方も多くいらっしゃいます。

大きく3つのきっかけをご紹介しましたが、これ以外にも様々なUターンの理由があります。また、1つだけの理由ではなく、複数の理由が重なってUターンを決意されている方も多くいらっしゃいます。

ここで大切になるのは、こうした「UIターン転職の理由をしっかり心に刻み込んでおくこと」です。Uターンして叶えたいことは何なのか、何を優先してUターンの実現を目指していくのか、ということをしっかり言葉にして意識付けしておきましょう。

転職活動は取捨選択することが多く、とても迷います。転職だけでも悩みがたくさんあり、Uターンの場合は住まい選びや家族のことなど、さらに悩みが増えます。転職活動前ははっきりしていた目的も、転職活動を進める内にぼやけてしまうことがありますので、「Uターンによって叶えたい事」をしっかり言葉にしておくことがとても重要です。

愛媛での暮らしや働くことが、自分自身の価値観と合っているか

人によって物事の感じ方は異なり、暮らしや働くことへの価値観も様々です。

例えば「田舎での子育て」を、「自然豊かな環境で、子どもを伸び伸びと育てられる」と感じる方もいれば、「学べる施設が少なく、子どもが刺激を受ける機会が減る」と感じる方もいます。

同じように、仕事でも様々な価値観があります。

「担当する業務範囲が広い」ことを、「様々な仕事に携わることができ、業務フロー全体を把握することができる」と感じる方もいれば、「携わりたい業務に集中できず、自分のスキルを伸ばすことができない」と感じる方もいると思います。

愛媛は中小企業が多いため、どちらかというと一人が担当する業務範囲が広くなるケースが多いと思います。あくまで傾向なので必ずそうなるわけではありませんが、「業務範囲が広がった」「仕事の影響力が高まった」というのがUターン転職された方から良く聞く声となり、そうした変化を良いと捉える方もいれば、あまり良くないと捉える方もいらっしゃいます。

また、仕事で言えば「年収」は平均的に1割〜2割程度下がる傾向にあります。もちろん、人によって年収アップを実現されたり、Uターン前の年収を維持される方も多くいらっしゃいますが、平均で見ると少し下がるというのが実情です。それを良しとするかどうかも人それぞれだと思います。年収に拘りがあり過ぎると、愛媛へのUターンを考える際の選択肢が少し狭まってしまうかも知れません。

このように愛媛での暮らしや仕事は都市部と違うことも多いため、事前にできる限りの情報収集をして自分自身の価値観と合っているかをイメージしていくことが大切です。

全ての価値観が完璧に合うことはないと思いますが、「Uターンによって叶えたい事」を意識しつつ、「これだけは譲れない」という価値観が愛媛での暮らしや仕事で満たされるのか、しっかり自問自答しておきましょう。



愛媛県へのUIターン転職事例

ここからは、具体的なイメージを持っていただくために、実際に転職された30代のUIターン転職事例をいくつかご紹介したいと思います。

Aさんのケース:30代男性/愛知県からUターン

愛媛県出身のAさんは就職を機に地元を離れ、自動車メーカーで品質不具合対応やコネクティッドサービス企画などの仕事に携わっていました。もともと地元への愛着は深く、現職を辞める事への葛藤はありながらも、少しずつUターン転職の検討を進めていました。

Aさんの葛藤は、自身がこれまでに培ってきた業界での経験やキャリアを活かせる先が愛媛にあるのだろうか?というところにありました。

前職は自らが望んで入社を決めた自動車業界であり、仕事にも非常にやりがいを感じていました。しかし、愛媛に同様の企業や職種は見当たらず、キャリアチェンジの必要性は自身でも感じていたものの、「自分のこれまでのキャリアで、いったい何ができるのだろうか?」と先が見えない状態になっていました。

キャリアチェンジに向けて、まずはAさんの強みはどこにあるのかを整理していきました。

工業高等専門学校を卒業されている点や、コネクティッドサービスという取引先とのやりとりや調整、交渉が非常に多く発生する業務経験などから、「工学系のバックボーンを持ちつつ、高い調整力がある点」が活かせるのではないかと、キャリアの棚卸しを行っていきました。

そして、Aさんの職務経歴書を企業に持ち込み、これらの強みやキャリアを活かせるところはないかポジションサーチを行った結果、重工業メーカーにて購買ポジションでの可能性が確認できました。

選考の末、Aさんの自動車という完成品メーカーで様々な販売店やサプライヤーなどと関わる中で培われた全体工程を見ながら舵取りができるその調整力の高さや、大手自動車メーカーでの技術力や知識がベースにある点などが企業側からも評価され、見事採用決定となりました。

これまでの経験とは違った購買ポジションでの転職となりましたが、前職で学んだ電気や機械などの基礎的な知識は今の仕事でも十分役に立ち、新たな環境で活躍しています。業種・製造しているものは違えどモノづくりの工程には通じるものがあり、その関わりの中での強みを活かすことができれば横展開も可能になります。

経験を活かせる先がないと諦めるのではなく、これまでの経験をしっかり棚卸しして、広く可能性を探っていったことがポイントとなった事例でした。

Bさんのケース:30代女性/静岡県からIターン

静岡県出身のBさんは、中学生の時に世界一周クルーズを行う豪華客船「飛鳥Ⅱ」を見学した経験から船へ興味を持ち、いつかは自身も世界中の海を渡る生活をしたいと、航海士を目指すことに。大学卒業後は航海士としてLPGタンカー、ケミカルタンカーに乗船されていました。

その後、客船への興味があったこともあり、船内レストラン勤務で客船に乗船することを選び転職しましたが、コロナウイルスの影響により4ヵ月で雇用止めとなり、退職を余儀なくされてしまったのです。

それでも船への想いを捨てることができず、改めて船に関わる仕事ができる環境を探して見つけだしたのが、愛媛県今治市の海運会社でした。

Bさんの葛藤は、やりたい仕事が見つかった場所が縁もゆかりもない地であった、という点にありました。これまで一度も愛媛を訪れたことはなく、転職を決めれば右も左も全く分からない新天地へ移住する事になるので、当然戸惑いも大きかったと思います。

そのため、企業との面談時に愛媛を訪れたBさんと一緒に、ドライブで市内のメインストリートなどを回り、今治市の街並みを案内しました。

愛媛県の中心都市である松山市まで車で40分であること、温暖でかつ気候が穏やかで住みやすい街であること、生活していくのに困らない街であること…などなど、ひとつひとつ確認していきました。今治に集積する各社の造船ドッグが一望できる場所からの景観をお見せした際には、「やっぱり今治市は造船の街なんですね」と話していたことが印象的でした。

その後、面接時に企業の方と実際に話をした際に、受け入れ体制や福利厚生が整っている点などが確認できたことも後押しとなり、Iターンでの入社を決心しました。

現在は陸上から船をサポートして運行管理を行う海務ポジションにて、以前の航海士としての経験もしっかりと活かしながら活躍をしています。縁もゆかりもない地での再スタートとなりましたが、大好きな船や海に囲まれて働くことのできる環境のなかで、非常に充実した生活を送っています。

Bさんは船に関わりたいという強い想いを背景に、仕事の内容や企業への興味、理解は非常に深かったものの、住む場所だけがどうしてもイメージできていませんでした。

全く知らない場所だからと初めから選択肢から外すのではなく、自分の目で現地を見て、確かめ、本当に自分がここで働き生活していけるのかという具体的なイメージを持てた点が転職成功のポイントとなったと考えています。



葛藤や不安を感じない人はいない

転職や地元へのUIターンを考える際に、葛藤や悩みが全くない、という人はいません。それまでの環境を変え、働いたことのない企業で、または住んだことのない地域で全くの新しいスタートを切るのですから、葛藤や不安があって当たり前です。それらを完全に無くすことは難しいですが、私たちキャリアコンサルタントが関わることで少しでも不安を和らげていく事はできると思っています。

一人一人が抱える葛藤や不安は十人十色です。私たちはその一人一人が何に葛藤しているのか、どんな不安を持っているのかを理解して寄り添い、一緒になってこれからのキャリアを考えています。愛媛へのUIターン転職でお悩みの際は、いつでもお気軽にお声がけください。不安や葛藤も含め、しっかりと伴走させていただきたいと考えています。


筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

松本 俊介Matsumoto Shunsuke

香川県高松市出身。大学卒業後、住宅メーカーへ入社。その後、株式会社リクルートへ転職し、ブライダル領域にて結婚式場の集客最大化に向けた提案営業に従事。鳥取県・島根県のエリアリーダーとしてマーケット拡大に向け戦略を設計推進。2017年にUターンし、自身の経験から「暮らしたいところで思い切り働く」という想いに共感し株式会社リージェントへ入社。現在は娘2人、息子1人の三児のパパ。オフも子どもたちと遊ぶのが一番という子煩悩な面も。