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現職を続けながらUIターン転職を検討する難しさと、進め方のポイント

弊社へのご相談の多くは、現職中でUIターンを検討されている方々からのご相談です。特に2020年以降は新型コロナウイルスの影響を受け、働き方や住む場所、暮らし方を考え直すきっかけとなり、UIターンを検討されるようになった方も増えてきていると感じています。

しかし、いざUIターン転職をしようとしたときに、転職活動にかかる時間や転職時期の決め方など、今の生活や現職とどのように折り合いをつけていけば良いのか、悩まれる方も多いと思います。今回は、現職を続けながらUIターンを検討する際の難しさと、進め方のポイントをお伝えしたいと思います。



①転職活動のための時間の確保

現職中に転職活動をすることの難しさの一つは、時間を確保しなければいけないことです。履歴書や職務経歴書を作成するための時間や、どのような転職先があるのか情報収集をする時間、興味を持った業界や企業を研究する時間、そして企業との面接のための時間など、転職活動には多くの時間が必要になります。

また、最近はオンライン面接が主流になりましたが、2〜3回の面接のうち1回は対面面接がある企業もあり、UIターン転職の場合、企業との対面面接のために長時間の移動時間が発生します。企業によっては土日や勤務時間外に面接を実施される場合もありますが、基本的には平日の勤務時間内の実施が多いのが実情です。そのため、有給休暇を取得して対応することや、距離や面接開始時間によっては前日から移動する場合があることも考慮して、あらかじめ現職のスケジュール調整が必要になってきます。

【進め方のポイント】
まずは隙間時間や、業務終了後の時間、休日を利用して、履歴書や職務経歴書の作成や企業研究などの時間を確保していきます。現職中の場合は時間が限られていますので、転職エージェントを利用して効率よく進めていくのも一つの方法です。履歴書、職務経歴書の作成の仕方や、UIターン先の転職市場、求人の状況や年収の相場観など、求人サイトだけではわからない情報を得ることができます。

また、実際に企業との面接を受ける際には、有給休暇を取得しやすい時期や、業務終了後の時間などで設定できるように、転職エージェントが企業に調整をお願いすることでスムーズに転職活動を進めることができます。

②転職する時期の目途を決めること

もう一つ、現職中の方が悩まれることに「どのタイミングで転職をするか」というものがあります。よくご相談いただく内容として、「現在抱えている仕事の区切りが見えない」「すぐに後任が見つからないかもしれない」「間もなく異動辞令が出そう。異動してすぐには辞めにくい。」などがあります。

誰でもやはり、現職に迷惑をかけたくないという思いがありますし、お世話になっている先輩や上司、同僚のことを考えると、どの時期が一番良いものか、と悩まれると思います。

【進め方のポイント】
どの時期であっても、退職するということは少なからず現職には迷惑をかけてしまうことになり、引継ぎや後任の手配、業務分担などの調整をお願いしないといけないことに変わりはありません。その中でも、どの時期が一番現職にとって負担が少ないか、理解を得られやすいか、配慮しながら考えていきましょう。

現在抱えている仕事の区切りが見えない場合は、途中でも誰かに引き継ぐことはできないか、3ケ月くらいあれば後任を準備してもらえるかもしれない・・・など、ある程度の目安をつけることはできるのではと思います。また、異動の辞令が出る時期が予想できていれば、その時期までには転職先を見つけておくと辞令が出たときに退職の決断ができる可能性もありますし、例えば異動してから半年間は現職の様子を見ながら、並行してUIターン転職のための情報収集の期間にしようなどと、ある程度の時期の目途をつけながら進めていくと良いと思います。

通常、会社の就業規則では「退職日の1ヶ月前に退職を申し出ること」と決められている場合が多いですが、会社によっては「3ヶ月前」などと申し出の期間が長く設定されていることもありますので、転職を考えられる際には、あらかじめ会社の就業規則を確認しておくと安心です。

③転職先が求める入社希望時期に合わせること

特にスタートアップ企業やベンチャー企業は、今すぐに人材が欲しいというケースも少なくありません。転職活動をし、晴れて採用内定を受けた後で、企業からの「〇月には入社してほしい」という要望に応えられず、現職の引継ぎなどで入社時期が遅くなる場合は、稀に「採用見送り」となることがあります。

特にUIターン転職の場合は転居を伴いますので、新しい住まい探しや引っ越し、退去に向けての準備期間も必要になり、退職後すぐに転職先に入社をするのはなかなか難しいことです。

【進め方のポイント】
上記の②とも重なりますが、転職をしたいと考えた際にある程度の時期の目途をつけておきましょう。また、受けたい企業の募集状況や、入社時期の調整に余裕があるのかどうか、という点も、事前に確認しておくことが重要です。

私たちは、企業のご紹介の際には、現在の募集状況や選考状況(他に選考が進んでいる方がいるのか)や企業の入社希望時期も確認しながら、最新の情報をご提供できるように努めています。

④退職の引き止め

晴れて採用内定を獲得した後は、現職の上司に退職の意向を伝えて退職交渉をしなければいけません。お世話になった上司に辞意を伝えることはとても心苦しく、勇気がいることでもありますが、新しい一歩を踏み出すためには避けて通れない道です。

退職の意向を伝えたときによくあるのは、退職を引き止められる、というケースです。「期待しているのでもう少し頑張ってほしい」「今、辞められるのは困る」「考え直してもらえないか」「後任が見つかるまでいてほしい」など、退職交渉がスムーズに進まないことがあります。

【進め方のポイント】
退職の理由として、現職への不満などではなく、「UIターン転職を決断している理由」を明確に伝えましょう。UIターンの理由は、新しいチャレンジや家族の事情など様々あると思いますが、現職に残っても叶えられない事情をお伝えすると良いと思います。引き止められる余地があると思うと、引き止めはますます強くなりますので、「決断⇒報告」という強い意思を持って退職意向を伝えていきます。

また、突然、部下から辞意を伝えられた上司の気持ちもくみ取って配慮することや、これまでの感謝を伝えることも重要です。私たちは、みなさんの状況にあわせて円満退職に向けた退職交渉の仕方を一緒に考え、お伝えさせていただいています。

その他、過去に、「遠方からの転職活動について」というテーマで、以下の項目についてブログを書かせていただきました。

・いつから転職活動を始めるべきか
・何社くらい併願して受けるものか
・企業面接を受けてから採用決定するまでにかかる期間
・入社日の調整について

よろしければ、あわせてご参照くださいませ。

さいごに

今回は、現職を続けながらUIターン転職を検討する難しさと進め方について、お伝えしてきました。

「UIターン転職」と言っても、個々の事情や背景は十人十色。上記のように、転職活動では、時間の確保や計画、調整、交渉といくつものステップを経る必要がありますが、私たちはみなさんのご意向や状況に合わせて、一つ一つのステップを一緒に乗り越えていきたいと考えていますので、遠慮なくご相談ください。

このブログが、UIターン転職を検討されている方の参考になりましたら幸いです。


筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

溝渕 愛子Mizobuchi Aiko

高知県高知市出身。大学卒業後、総合リース会社に就職。地元の高知支店に配属されリース営業に従事。その後、大阪に転居し、株式会社リクルートに入社。HRカンパニー関西営業部の新卒・キャリア採用領域で企業の採用活動をサポート。また、派遣領域では関西・中四国エリアの派遣会社への渉外業務に従事。四国へのUターンを決意してリクルートを退職。香川県の人材サービス企業に転職し、管理部門にて、社員の労務管理、新卒採用活動に従事。その後、株式会社リージェントに入社。今ハマっているのは、限られた自由な時間を有意義に過ごすこと。1日にジャンルの異なる数冊の本を、少しずつ読むことを楽しんでいる。