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UIターン後、新しい会社で力を発揮するために

新しい年を迎え、「さて、2023年はどんな一年にしようかな」と、これからの働き方やライフスタイルについて考える時間をもった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

当社では昨年からメンバー同士で“対話” する時間を設けて、自分たちの仕事観や人生観、企業理念にそったテーマなどについて、お互いの考えや感じていることを率直に伝えあい、受けとめるという時間を大事にしてきました。そうした時間を意識的に取ることで、働く上での個々の気持ちや日々の出来事への感度が高まっただけではなく、自分のことを思いのまま話すことで自分自身の価値観にも改めて気づかせてもらえる機会になりました。

キャリアコンサルタントとしても、このような“対話”を通じてみなさんがご自身でも気づいていなかったような仕事観や人生観に気づけるような時間を作れるように努めていきたいと思います。

さて、今回は「UIターン後、新しい会社で力を発揮するために」をテーマにお話をしていきたいと思います。特に「力を発揮する」ために重要なこととして、以下の3つのポイントをお伝えしていきます。

<1>仕事観

まずは、上の対話の話でも出てきた「仕事観」を明確にしていくことが「力を発揮する」ために重要だと感じています。仕事観は、例えば「収入」「社会的地位」「やりがい」「自己成長」「社会貢献」など、何のために働くのかという目的や仕事をする上での価値観を指します。自身の仕事観と実際の働き方にずれがあると、モチベーションが維持できなくなって違和感や不満が生まれやすくなり、思う存分に力を発揮することが難しくなります。

自身の仕事観を明確にするために、キャリア・アンカーという考え方で診断する方法があります。キャリア・アンカーとは、個人がキャリアを選択していく上で絶対に譲れない軸となる価値観や欲求、能力などを人生の錨(アンカー)として例えた考え方で、一度形成されると周囲の環境や年齢が変化しても変わりにくいと言われており、生涯にわたってその人のキャリアを決定づける重要なファクターだとされています。どんな状況でも、個々が自分らしく、パフォーマンスを存分に発揮できること、また、会社が社員の能力を最大限活かして発展していくために、キャリア・アンカーが重視されています。

キャリア・アンカーは、以下の8つに分類されます。

1.管理能力 例:組織の運営に関わるような仕事がしたい
2.専門・職能別能力 例:特定の分野で活躍したい
3.保障・安定 例:安定した職業に就きたい
4.起業家的創造性 例:独立・起業して新しいものを生み出したい
5.自律と独立 例:自分の裁量で働きたい
6.奉仕・社会貢献 例:世の中の役に立ちたい
7.チャレンジ 例:難しい課題に挑戦したい
8.ワークライフバランス 例:仕事とプライベートを両立させたい

皆さんが大切にされている軸は何でしょうか?キャリア・アンカーを診断できるサイトもいくつかありますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

<2>キャリアの棚卸

上記の仕事観を明確にするヒントにもなるのが、キャリアの棚卸です。キャリアの棚卸はこれまでの職歴と携わってきた業務を時系列で洗いだしていくことですが、ただ漠然と携わった業務を書き出すのではなく、それぞれの業務をどのような姿勢で取り組んできたのか、業務を経験することでどのような力や知識が身についたのかもあわせて掘り下げていくことが大切です。

また、取り組む中で工夫したことや苦労したこと、苦労から学んだこと、情熱を注げたことなども書き出していきます。そして、自身の取り組みでどのような貢献、実績に繋がったのか、その実績によりどのような評価を受けたのかなど、具体的なエピソードについて振り返ります。

こうして振り返ることで、どの経験が自身の強みとしてアピールできるものなのか、転職後に発揮したい力は何なのかを明確にしていくことができます。強みは必ずしも経験年数の長さや実績だけに限らず、ゴールに向けて取り組んだプロセスも強みとしてアピールできます。こうして洗いだしながら振り返ることで、その時の感情(達成感や貢献感、疲弊感など)も思い出すことができ、自身の仕事観を知るきっかけにもなるのです。

<3>企業研究

仕事観が明確になり、キャリアの棚卸により自身の強みが見えたら、次はその仕事観が叶えられる企業や自身の強みが活かせる環境を探していきます。

企業研究としては、企業のコーポレートサイトや経営者の記事、動画などを通してビジョンやミッション(存在意義)、商品やサービスなどの企業情報はもちろん、その企業の顧客や市場環境、競合企業もあわせて把握していきます。

一つの企業の情報だけに共感して興味がもてたとしても、その企業を取り巻く顧客や市場環境、競合企業が事業の発展に大きく影響しますし、在籍する社員の働き方にも関わってきます。また、経営者のタイプや企業風土によっても、個々の仕事観が叶うかどうかが左右されますので、企業とのコネクションの強いエージェントを利用しながら、企業の理解を深めて、自身の力が発揮できる環境であるかを判断していくと良いと思います。



今回は、UIターン後に新しい会社で力を発揮するために、というテーマでお話をしてきました。私たちキャリアコンサルタントは、転職がゴールではなく、みなさんが転職先で力を発揮できることをゴールとしてお手伝いをさせていただいています。現職中の方も多く、自分一人では仕事観やキャリアの棚卸、企業研究が進みにくいこともあると思います。新しい年を迎えて現在の働き方やライフスタイルなどについて改めて考えるきっかけを持たれたら、その時はぜひお気軽にお声がけくださると嬉しいです。


筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

溝渕 愛子Mizobuchi Aiko

高知県高知市出身。大学卒業後、総合リース会社に就職。地元の高知支店に配属されリース営業に従事。その後、大阪に転居し、株式会社リクルートに入社。HRカンパニー関西営業部の新卒・キャリア採用領域で企業の採用活動をサポート。また、派遣領域では関西・中四国エリアの派遣会社への渉外業務に従事。四国へのUターンを決意してリクルートを退職。香川県の人材サービス企業に転職し、管理部門にて、社員の労務管理、新卒採用活動に従事。その後、株式会社リージェントに入社。今ハマっているのは、限られた自由な時間を有意義に過ごすこと。1日にジャンルの異なる数冊の本を、少しずつ読むことを楽しんでいる。