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転職する四国UIターン、転職しない四国UIターンをどう考えるか

【リモートワークの普及がもたらしたもの】

9月に入り、ひんやりとした風が吹き始め、季節の変わり目を感じられる時期となってきました。遠くに出掛けることはなかなか叶いませんが、今年は身近なところで感じられる秋の気配にアンテナを立てて、四国の「秋」を見つけられたらいいなと思います。

仕事では、リモートワークでの勤務体制をメインとしているため、オフィスで全員が顔を合わせて仕事をすることは、ここ1年半くらい実現していませんが、そろそろこのワークスタイルを平時と受け止めた新たな姿勢で臨まなければいけないなと感じ始めています。このブログをご覧いただいているみなさまは、現在どのようなワークスタイルでしょうか?

先日、四国の企業様向けにセミナーを開催し、コロナ禍をタイミングとして起きている変化についてお話をさせていただきました。(※セミナーレポート参照) その変化の大きな要素の1つにリモートワークの普及があると考えています。セミナーの準備をする中で、都会と四国のリモートワークの導入率について調べたところ、大きな差があることがわかりました。東京は6~7割の企業でリモートワークの導入が進んでいるのに対し、四国は1割未満の導入に留まっており、多くの企業で出社をベースとした勤務体制となっているようです。これには、感染者数の推移が都会に比べ落ち着いていることや車での通勤が主流であるなど、様々な理由が挙げられることではありますが、想像以上の大きな差に驚きました。

一方で、都会から四国へのUIターン転職をご検討されている方々からは、リモートワークの普及により転職をせずに現職のままUIターンをするという選択肢が現れたことで、今後のキャリアをどう考えるべきかというご相談が増えてきました。現在の仕事に不満はなく、仕事以外の事情によりUIターンを検討している方にとっては、これまでの業務経験や実績、人間関係をそのままでUIターンできるため、有力な選択肢のように感じますが、反面、その選択肢をとった場合のリスクについて不安に感じるという声も多く聞かれます。そこで今回は、「転職しない」UIターンをどう考えるかについて考察していきたいと思います。

【転職しない四国UIターンのリスク】

①リモートワーク環境がずっと継続されるかどうか。
会社によっては一時的措置や試験的に導入しているというところもあり、会社の方針が今後もずっと同じとは限らない可能性があるので、その点は確認及び見極めが必要だと思います。実際のケースとして、これまで継続していたプロジェクトではリモート勤務で進めることで問題なく進んでいましたが、新たに立ち上がったプロジェクトで、想定外の状況が起き、リモート体制では対応ができないという事態となり、継続が難しくなったというケースもありました。このように会社の方針はさることながら、職務上での想定も含めて将来を見越した判断の必要性があると思います。

②コミュニケーションの壁を埋められるか。
離れた地でのリモートワークになると、何かあった時にすぐに会って話をするということが気軽にはできなくなります。それまでに繋がりある人との関りは問題ない場合も多いですが、新たに関わる人との関係性を深めていくことに敷居を感じると思われている方は多いようです。特に新入社員との関係性は、よほど意識してコミュニケーションしなければ、同じオフィスで働いていたような感覚で関係性を築くことが難しいという声はよく聞きます。そのため、身近に会える距離で働いている時よりも、意識と労力をつかってコミュニケーションをしていく覚悟が必要なところになります。

③キャリアアップや昇進への壁の存在。
現状の仕事からさらにキャリアアップを目指す際に、制限がかかってしまう可能性があることも認識しておく必要があります。例えば、現状の職務を遂行する中では問題はなくても、将来的に新たな組織に配属された場合や、マネジメント職に就くという状況になった際に、リモートワーク下では制限がかかるというケースもあります。そのため、会社のキャリアステップの定義や自身が目指す今後のキャリアの方向性も含めて検討しておくと良いと思います。

④「働く」価値との向き合い方。
これは人それぞれの価値観によるところが大きいと思いますが、離れた土地でのリモートワーク勤務になることで、一緒に働く仲間との一体感や会社や顧客への貢献感などに変化を感じ、やりがいやモチベーションを感じづらくなるというケースもあります。リモートワークでも問題なく仕事は進むものの、コミュニケーションが限定的になることで、このような状況になり、何のために仕事をしているかという実感がわきづらくなるというご相談もございます。これは会社全員がリモート勤務をしている場合よりも、一部の人たちだけがリモート勤務となっている場合、このように感じられる方が多い傾向にあります。仕事をするのであれば、暮らしている地でその地の仲間と共に貢献感を身近に感じながら働きたいという結論に至る方もいますので、この点も自身にとって大切にすべきことかをお考えいただければと思います。



【さいごに】

今回は4つのポイントをお伝えさせていただきましたが、いずれにしてもUIターンを考える際に「転職」をするかどうかは、「働く」価値に何を求めるかにより、決断が変わっていくものだと感じます。様々なケースを知ることで、自分はどうかと考えるきっかけになればと思い執筆しました。

我々は、1人1人の「働く」価値に寄り添ったキャリアコンサルティングを提供したいと考えていますので、転職検討に入る前にそもそも自分は何を大切にしていきたいのか、ということから共に考えられればと思います。ぜひあなたの大切にしたい「働く」価値を教えてください。


筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

佐々木 一弥Sasaki Kazuya

香川県さぬき市出身。大学卒業後、2007年に株式会社リクルートに入社。求人広告の企画営業職として、香川・愛媛にて、四国に根差した企業の採用活動の支援を中心に、新拠点や新サービスの立ち上げも経験。2010年に販促リサーチを行うベンチャー企業の創業メンバーとして参画。創業の苦労と挫折を経験。2012年、株式会社リージェントの創業メンバーとして入社。2019年より代表取締役に就任。子どもと焚き火をするのが至福の時間とのこと。