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Uターン・Iターン転職で大切な「転職理由・志望動機の伝え方」

通常の転職において転職理由や志望動機の伝え方はとても大切ですが、UIターン転職においては、さらに重要なテーマとなります。今回はそんな「UIターンにおける転職理由・志望動機の伝え方」に焦点を当ててお話ししたいと思います。転職理由の伝え方において、通常の転職とUIターン転職では何が違うのでしょうか。

通常の転職では、企業や仕事を軸として「なぜ転職するのか」といった転職理由、そして「なぜその会社で働きたいのか」といった志望動機を伝えます。

【転職理由の例】
・年功序列制度のため成果を上げても評価されず、モチベーションを保つことが難しい
・業績悪化による事業縮小から、異なる職種への異動が予想される
・組織の人員構成上、今より責任あるポジションや仕事に挑戦できる見込みがない

【志望動機の例】
・年齢に関係なく成果が評価される環境に身を置き、常に向上心を持って働きたい
・当該事業で成長を遂げている貴社で更なるスキルアップを目指したい
・新規事業への投資に積極的な貴社でこれまでの経験を活かし、マネジメントに挑戦したい

UIターン転職の場合、これに加えて「なぜ今、この場所で働きたいのか」というUターンやIターンをする理由を伝える必要がでてきます。

そのため、UIターン転職の場合は【①UIターンする理由】【②転職理由】【③志望動機】を混同せず、それぞれを明確にしておくことが大切です。UIターンする理由がそのまま転職理由という方もいらっしゃるかと思いますが、それでも分けて考えて「転職理由は本当にないのか」と、改めて自問自答しておくことも重要です。

それでは、それぞれの伝え方についてポイントをまとめていきたいと思います。



①UIターンする理由の伝え方

Uターンの場合
私の肌感覚ですが、企業側は「Uターン」という言葉に対してポジティブな印象を持つように感じます。縁ゆかりある土地に戻るという点に“定着性”を覚えるからではないでしょうか。しかし、「Uターン」だけで理解が得られるわけではありません。企業は「Uターンを決めた理由に納得感が持てるかどうか」を重視するため、掘り下げて質問されることを想定しておいてください。

Uターンの場合は家族の事情などプライベートを含むことが多く、どこまで伝えるか迷うと思いますが、企業側の心境としては「話してくれた方が安心する」というのが本音。面接官には守秘義務がありますので、可能な範囲で丁寧にお伝えすることをお勧めします。

Iターンの場合
Iターンの場合はUターン以上に転職への本気度が問われます。例えば「旅行で訪れた香川県に魅了され、移住を希望しています」といった理由では、企業側に「香川で暮らしたいのは分かるが、自社に定着して活躍してくれる確信が持てない」といった不安を感じられてしまい、面接でNGとなる可能性があります。

Iターンは、縁ゆかりない土地を選ぶことになり、企業もその方の転職に対する本気度を図り難く慎重になりがちです。Iターンの場合は、働く場所へのこだわり以上に、「その会社」「その仕事」でなければならない理由を明確に伝える必要があることに注意してください。

■転職理由の伝え方

転職理由を伝えるということは、「自分は転職をすることによって何を実現したいのか」を説明するということです。「UIターンによって地元で子育てのサポートを得たい」「両親の老後を考えて、両親の近くで暮らしたい」などプライベートな理由の場合は、その事情を転職理由として伝えます。

一方で、仕事についてはどうでしょうか?仕事ではどんな問題を解決したいのか、例えば「現職では実現できないキャリアがある」「もっと幅広い職務を経験し、スキルアップしたい」など、仕事における転職の目的こそ大切な転職理由です。中には、今の仕事には不満なくやりがいを感じている、という方もいると思います。その場合、その旨を隠すことなく伝えた上で、「こういう仕事にやりがいを感じているので、それを活かして挑戦したい」と伝えると良いでしょう。転職理由(仕事軸)を伝えるとは、つまり「転職によってどんな仕事・キャリアを実現したいと考えているか」に答えることです。まずはキャリアの棚卸から初めて、転職によって叶えたいことを言語化していきましょう。

[UIターン転職に迷いがある場合]
今の仕事に充実感があるにも関わらず、家族の事情でUIターン転職を検討せざるを得ない方もいらっしゃるかと思います。もしも転職に迷いがある場合は、その気持ちを受け流さずに納得できるまで家族や自分と向き合って欲しいと思います。
(転職エージェントに相談して、様々な事例から客観的な意見をもらうことも一つの方法です)

③志望動機の伝え方

時々、転職希望者の方から「今は地元に戻りたい気持ちが一番なのですが、地元に戻りたいから、と伝えても大丈夫ですか?」と聞かれます。結論から言えば、それだけでは採用する側の不安は払拭し切れません。「地元で働けるなら、うちの会社でなくてもいいのではないか」という印象を与えてしまっては全てが台無しです。「地元に戻りたい」だけではなく、「その会社で働きたい理由」が揃ってはじめて、志望動機として完結します。志望動機は面接官が一番問いたい応募者の “真剣度” が如実に伝わるため、とても重要です。企業に対してあなたの“熱意”を伝えることに真剣に向き合い、UIターンする理由、転職理由、志望動機に一本の筋が通るよう準備をしてください。
それでは、志望動機の伝え方を見ていきましょう。

1. 「企業をとことん好きになって熱意を伝える」
まず応募先企業を徹底的に調べます。情報を集める時は、転職エージェントを利用することをお勧めします。転職エージェントは表には出ていない企業の内情や蓄積している様々な情報もありますので、積極的に企業情報を得ていただければと思います。

もちろん、ホームページもくまなくチェックします。内容に目を通すだけでなく、企業理念やコンテンツ、文章の内容や言葉遣いから、その企業のマインドや風土が感じられることがあります。
他にも中長期経営計画、株主向け資料、経営者インタビュー記事などもチェックします。データや数字は深読みをして、そこから入社後をイメージしておくと、志望動機だけでなく面接時の質問にも繋がります。

表面的な情報を捉えて伝えるのではなく、自分が何に共感しているのか、抽象的でも良いので「どこが好きか、なぜ好きか」熱意を込めて自分の言葉で伝えることが重要です。

2.「貢献できることを伝える」
企業はやはり幅広い意味で「利益をもたらす人」を求めています。そのため、自身の知識や経験を「過去の実績」から伝えることで、面接官は自社での再現性がイメージでき、採用の意欲が高まります。
「5W1H」や「数字」を用いて伝えること、また自分の実績を下記の観点から分析しておくと、どんな質問にも答えやすくなるでしょう。

―課題や問題をどう導き出したのか。
―どんな戦略を立ててどう行動したのか。
―その時、何が上手く行って、何が上手く行かなかったか。
―上手く行かなかったことに対してどう対処したか。
―結果はどうだったか。
ー結論、どんな貢献ができたのか。

繰り返しますが、志望動機や志望理由にはあなたの転職への“真剣度”があらわれます。「熱意」と「適性」について、自分自身の言葉で伝えることを大切にしてください。

[UIターン転職で使いがちな抽象的ワード]
志望動機や志望理由を伝える際、UIターン転職で使いがちな抽象的ワードがあります。それは「地元貢献」や「地域の活性化」という言葉。志望動機を語る際、こうした抽象的な言葉は安易に使わないことをお勧めします。もし使う場合は、地元貢献や地方の活性化のために「その会社のその仕事でなければならない理由」まで掘り下げることが重要です。

■転職理由・志望動機の具体例

それでは最後に、UIターン転職で大切な「転職理由・志望動機」の伝え方について、具体例を紹介してブログを終わりたいと思います。

Uターン転職したAさん
『現在40歳で妻と2人の子どもがいます。現職は全国転勤があり、恐らく来年は異動の可能性があります。子どもたちの転校のことも考えて、これからは家族と向き合う生き方を大切にしたいと考えています。現職でキャリアを積んでいく選択肢もありましたが、最終的には生まれ故郷の香川に移り住み、家族との時間を大切にしようと決断しました。

香川で働ける企業を探す中で、貴社がこれから取り組もうとしている「事業展開」に惹かれています。特に500人規模の大きな事業展開であり、5年後には事業規模2倍増という経営指針を掲げていること。それを実行するには人事が重要であり、定着率向上などの課題もあると考えています。そこに自分の人事としての経験、特に「現場がわかる人事」としての強みを存分に発揮できると感じ、貴社を志望しています。』

Iターン転職したBさん
『転職で叶えたいことは機械設計に携わることです。これまでの機械設計や量産ライン設備開発の知識や経験を活かし、次は「最終製品に携わりたい」「注文通りに作るだけではなく、ユーザーに使われているところをイメージしながら自分の思いをこめた設計をしたい」と考えています。

貴社の設計職は、まさに自分が求めている「ユーザー目線の設計」だと感じ、最後の挑戦だと考えて応募を希望しています。香川県に縁ゆかりはありませんが、以前に瀬戸内で勤務していた時に「瀬戸内は住みやすい」というイメージがあったので香川県での暮らしにも興味を持っています。』


筆者プロフィール

国家資格キャリアコンサルタント

四ノ宮 こころShinomiya Kokoro

香川県出身。大学卒業後、ITベンダーを経て株式会社リクルートへ入社。新卒採用における組織課題抽出、採用計画策定、企業広報及び選考プロセス設計から入社後育成までのコンサルティングに携わる。10年間のキャリアを経て関西への転居を機に、キャリアコンサルタントとして自身の専門性を高めたいと考え、地元四国の貢献に繋がれば、との想いから株式会社リージェントへ入社。現在は同社大阪オフィスにて勤務。