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UIターン前に知りたい愛媛の暮らし【医療施設編】

こんにちは。四国の転職エージェント、リージェントの井上です。

前回、香川県の医療体制の現状をご紹介するブログを投稿させて頂き、改めて「移住を検討している地域の医療体制の現状を知る」ことの重要性を実感しました。
超少子高齢化や人口減少が進む昨今、地方医療は医師・医療施設の偏在や医療・介護に対するニーズの増加など、多くの課題を抱えています。すなわち、都会から移住するということは、受けられる医療の質が低下する可能性が大いにあるということです。

その一方、地方移住には、「自然に恵まれた土地で暮らせる」「両親の近くで暮らせる」「都会の喧騒から逃れられる」など、様々な魅力があります。従って、地方移住を検討される際は、メリット・デメリットを総合的に鑑みて判断する必要があります。
ご自身が納得して移住をするためにも、転職先の情報だけではなく、身の回りの生活環境について幅広く情報収集していきましょう。

さて、今回は、四国で最も人口が多くUIターン者も多い愛媛県にクローズアップし、地域の医療体制について情報提供していきたいと思います。

愛媛県の医療施設分布から見る医療体制

まずは愛媛県の診療所数から見ていきましょう。
人口10万人当たりの一般診療所数は91.1で、全国平均の80.0を上回っていることから、地方の中でも比較的医療資源の豊富な地域であると言えます。

しかし、その内訳を見てみると、八幡浜・大洲地区の診療所数が120.8と多いのに対し、宇摩地区は63.5と少なく、県内で偏在していることが窺えます。一見、八幡浜・大洲地区及び宇和島地区の医療資源が潤沢にあるように見えますが、当該地区の少子高齢化による人口減少が影響し、人口10万人当たりの一般診療所数が高く算出されているものと考えられます。

< 一般診療所数及び病床数(人口10万対) >

エリア 施設数 病床数
愛媛県合計 91.1 214.6
宇摩 63.5 162.7
新居浜・西条 83.3 119.9
今治 73.1 201.1
松山 92.7 256.8
八幡浜・大洲 120.8 154.7
宇和島 107.4 299.7

出典:第7次愛媛県地域保健医療計画「第2章保健医療の状況」(平成28年)

次に、総合病院に関してですが、こちらも人口10万人当たりの病院数は10.3ということで全国平均の6.7を上回っており、地方医療体制としては比較的充実していると言えるでしょう。愛媛県では中小規模の民間病院が比較的多いのが特徴であり、地域医療を支える重要な役割を担っています。

松山地区は比較的規模の大きな病院が多いにも関わらず、人口10万人に対する施設数が少ないというデータになっていますが、これは松山地区に人口が集中していることが影響していると考えられます。
また、病院に関しても、診療所同様、県内での施設数及び病床機能に地域差が見受けられます。医療資源の少なさや病床機能に偏りがあることより、地区内の病院で急性期医療に対応できない地域もあるため、近隣地区や近隣県の病院と連携して患者を受け入れる体制を整備・確立しています。

< 病院数及び病床数(人口10万対) >

エリア 施設数 病床数
愛媛県合計 10.3 1,607.2
宇摩 10.4 1,575.0
新居浜・西条 9.7 1,827.7
今治 18.3 1,492.1
松山 8.1 1,509.3
八幡浜・大洲 11.3 1,661.2
宇和島 10.7 1,851.3

出典:第7次愛媛県地域保健医療計画「第2章保健医療の状況」(平成28年)

愛媛県の医師数から見る医療体制

次に、医師の数という観点で愛媛県の医療体制について見てみましょう。

※下記データは「令和2(2020)年医療施設調査・病院報告/厚生労働省」、「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計/厚生労働省」、「第7次愛媛県地域保健医療計画」を参考に作成しています。全て人口10万人当たりで換算した人数比較となります。

< 医療施設に従事する医師の数 >



愛媛県内の医師の数は全国平均よりも上回っており、地方の中でも比較的医師数を担保できているエリアであることが窺えます。しかし、医療施設数と同様、愛媛県内で医師が偏在しており、松山地区が県内医師全体数の半分以上を占めるという割合となっています。

この課題を解消するため、愛媛県内の各医療関係団体や愛媛大学などが連携し、将来を担う若手医師が安心してへき地医療に従事できるよう、働き方改革や奨学金制度策定など様々な対策を講じています。

< 医療施設に従事する外科専門医の数 >



様々な医療の中でも最後の砦として位置付けられている外科治療。そんな重要な役割を担う外科専門医の数は全国平均よりもやや上回っており、移住地としては問題ないレベルの医療体制が整っていると考えられます。

< 歯科医師の数 >



定年後のセカンドライフで度々お世話になることが予想されるのが歯科診療所。歯は自然治癒することはありませんので、治療で定期的に通院する必要があります。歯の不調が発生した時に、すぐに歯科医にかかれる環境であるかどうかも医療環境を見る上で重要な要素です。

上記データを見ると、愛媛県の歯科医師の数は全国平均よりも下回っており、歯科診療体制として少し不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、実は歯科医数は全国的に増加傾向にあり、将来的には歯科医の供給過剰になるという予測があるそうです。現に愛媛県内でも歯科医数は年々増加しており、近い将来、この不足感も解消されるのではないかと考えられています。

< 医療施設に従事する小児科医師の数 >



子育て世代のUIターンで気になるのが、小児医療体制ではないでしょうか。上記データからわかるように、愛媛県の小児科医の数は比較的充実しており、子育て環境としては問題ないレベルであることが窺えます。

また、愛媛県では、災害に備えた小児・周産期医療体制の構築にも力を入れています。令和3年度には、災害時に小児・周産期医療に関する情報収集や関係機関との調整等を担う「災害時小児周産期リエゾン」と呼ばれる専門家を、27名任命しています。これは、東京都の30名に次いで全国で2番目に多く、災害から子供を守ることに対する意識の高さが窺えます。

< 医療施設に従事する産婦人科医師の数 >



結婚・妊娠を機に四国へのUIターンを考え始めたという方は、産婦人科の診療体制についても気になりますよね。上記データからわかるように、愛媛県の産婦人科医の数は全国平均よりも上回っており、出産を考える環境としては問題ないことが窺えます。

また、妊産婦死亡率、新生児死亡率、周産期死亡率は、世界トップレベルと言われる日本全国の統計値をも上回るレベルを維持しており、質の高い周産期医療を提供できていると言えるでしょう。 なお、早産、妊娠高血圧症候群、子宮頸管無力症、多胎妊娠、高齢出産などのハイリスク出産にも対応できるNICU付き総合病院は県内に6ヶ所(以下参照)ありますので、出産に不安がある方は参考にしてみてください。

【NICU付き総合病院】
愛媛県立中央病院(松山市)
愛媛大学医学部附属病院(東温市)
松山赤十字病院(松山市)
市立宇和島病院(宇和島市)
愛媛県立今治病院(今治市)
愛媛県立新居浜病院(新居浜市)

「えひめ医療情報ネット」の有効活用



愛媛県内の医療機関を検索したい時には、「えひめ医療情報ネット(愛媛県広域災害・救急医療情報システム)」を活用することをお勧めします。医療機関の検索だけではなく、休日・夜間当番医やこども医療電話相談の案内なども掲載されていますので、医療機関の受診をする前の情報収集にとても役立ちます。

実際にこのシステムを使ってみましたが、自宅住所を登録することでその周辺の医療機関の一覧を表示させることができます。近隣の医療機関を検索する機能だけではなく、医療機関の特徴や症状というカテゴリーでも検索することができますので、持病のある方はご自身の症状に合った医療機関が希望するエリアにあるか等、一度調べてみることをお勧めします。

まとめ

愛媛県の医療環境についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
愛媛県は地方としては比較的医療体制が整っている県であることがわかりましたね。一方で、医療資源の偏在という課題もありますが、地域をまたいだ医療機関の連携強化や医療従事者に対する働き方改革など、医療体制の質向上に向けて様々な施策を打ち出し、積極的に取り組んでいるという印象を受けました。

余談にはなりますが、健康効果の高い「愛媛県産みかん」を食べられることも、体を元気に保つという意味で愛媛移住のひとつの魅力ではないかと感じています。実は愛媛県はみかん消費量全国2位と言われるほど、四季を通じて様々な種類の柑橘類を食べているそうです。柑橘類には疲労回復を高める「クエン酸」や、老化防止に効果があると言われている「ビタミンC」が豊富に含まれており、日頃の健康維持に役立ちそうですね。

将来の自身の健康と向き合いつつ、愛媛県での移住生活を楽しんでいただけたらと思います。

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